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有元美津世のGet Global!

クルーズ船でグローバル力を養う (2) — 「乗客として」(中編)2015.02.10

前回の話で「クルーズって高くないんだ」「こんなに安いの?」と思った読者は多いのではないでしょうか。

 

では、ここで、クルーズに安く行く秘訣をもうひとつ。  

 

クルーズ会社は、毎年、春と秋に、ひとつの地域から別の地域に客船を移すのですが、これはRepositioningと呼ばれます。たとえば、アラスカクルーズは夏だけなので、9月には船を西海岸沿いにメキシコに移動させるのです。

 

Repositioningは、北米~アジアやハワイ、北米~ヨーロッパ、北米~南米間、オーストラリア~アジアやハワイでも行われます。たとえば、バンクーバーからロシア、北海道を通って東京までのクルーズ、中国、韓国、日本を通ってバンクーバーに戻るクルーズが900ドルくらいからあります。

 

Repositioningは船の移動が目的なので、片道のみで(つまり出発地に戻るには飛行機を利用しないといけない)、通常のクルーズより安いのです。ノマドワーカー兼バックパッカーの30代夫婦も、下記で紹介する中年夫婦も、大西洋横断クルーズに一人300~400ドルで乗船するのです。(ただし、太平洋、大西洋横断クルーズは、どこにも寄航しないSea Dayが多く、何日も船内に閉じ込められるのが苦手な人には向きません。)

低所得でも楽しめるクルーズ

今回、船上で知り合った別のアメリカ人夫婦グレンとメル(キューバ出身)は、ヨーロッパに住んでいたこともあり、何度もアメリカとヨーロッパをクルーズで往復したことがあるそうです。それを聞いて、初め、お金持ちの夫婦かと思ったのですが、実は年収は夫婦合わせて1万5000ドルに満たないというのです!

 

グレンは弁護士の資格も持っているのですが、弁護士として働いたのは若い頃、数年だけで(弁護士をいやで辞めた人がここにも)、その後、40年ほとんど働いていないそうです!そのため、もらっている老齢年金はスズメの涙… 最近は、無料で仕入れた古本をアマゾンで販売して生活費の足しにしているとか。

 

60代のグレンと50代のメルなのですが、寄港地で彼らが泊まるのはホステルなどの安宿です。船上で「メルはいつも同じ服、着てるな」と思っていたのですが、服はすべて非営利の寄付品販売店で古着を買うというのです!

 

彼らの生活ぶりに衝撃を受けた私は「すでにアマゾンで店を構えていることだし、お金がなくてもクルーズできる!」っていうeBookを書けば?」と勧めたのですが、「アメリカ人が知りたいのは、お金儲けの方法で、節約じゃない」と乗り気ではありません。

Here’s the Catch

このように、タイミングを計って探せば格安クルーズは見つかるのですが、問題は、Last Minute Dealで出発直前にクルーズ行きが決まると、バカ高い航空運賃を支払うことになる点です。クルーズに安く行けても、節約分が航空運賃で消えてしまいます。

 

実は、グレンとメル、ジョンとヘザーは、どちらもフロリダ在住で、航空運賃を心配する必要がないのです。アメリカのクルーズの多くがフロリダ(MiamiやFt. Lauderdale)から出発します。彼らは港まで車で行けるのです。

 

日本発クルーズが増えれば、皆さんも格安クルーズに乗れるチャンスが増えるかもしれません。

対人が苦手でも

クルーズ船は、大きな船になると5000人以上収容できるものもあり、短期的にひとつの町、コミュニティを形成します。人ごみ、初対面の人たちと会話するパーティー的な環境が苦手な人には向かないかもしれません。ただし…

 

上記のメルに聞いた話ですが、一度、メルが一人で先にヨーロッパからアメリカに戻らないといけなかった際、(無口で偏屈な)グレンが一人で大西洋横断クルーズに乗って帰ってきたそうです。

 

2週間のクルーズだったそうですが、その間、誰とも口を利かなかったと!

これを聞いて、対人が苦手な人でも、クルーズは楽しめると思いました。一日中、客室、図書室、人通りの少ないデッキの隅で、読書をしたりすることは、十分、可能です。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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