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有元美津世のGet Global!

それでも事務職を目指す?(2)2017.07.11


 前回の「将来がないのに人気の一般事務」ですが、今、中年の人が「一般事務しかできない」「販売職などからオフィスワークに移りたい」というのなら、まだわかるのです。でも、大学新卒で一般事務希望というのは...

   新卒だと、今後、30年以上、働かないといけないのですよ。昔なら「結婚までの腰かけ」も可能だったかもしれませんが、終身雇用や年功序列が崩れ、離婚も増える中、人の収入を当てにするのは大博打。(一生食べさせてくれる人を見つける方が、自分で食べていける仕事を見つけるより難しそうな気がしますが。)

スキルが身に付かない


 一般事務の問題は、正社員雇用が少なく、競争が激しいというだけでなく、スキルが身に付かず、キャリアが積み上げられないという点があります。

 無事、就職しても、実際に仕事をしてみると「ルーティーンの仕事で、毎日が苦痛」「一日中データ入力」、それも「10年も同じ仕事」で、「転職したい」となりかねず...

 それどころか、10年後には、その会社が残ってないかもしれないし、リストラされたときに転職をするのにスキルがないのは致命的です。

 10年も勤めていれば、職務経歴書(または英文履歴書)にはかなりの経歴が書けるはずですが、一般事務だと...う~ん。(私は、10年ほど英文履歴書作成のお手伝いをしていましたが、こういうケースは”売れる”ように書くのが難しい。)

 「簿記も勉強して、経理もできるようにしたい」といっても、前回の「会計事務」の求人倍率を見ても0.60で、やはり競争率は高いです。さらに経理関係も、AI(人工知能)の普及で消えるとされている職種の上位にあります。

 『業界地図2016年版』によると、1995年~2010年の15年の間に一番減少した職種は、会計事務従事者(113万人)が農耕従事者に次いで2位でした。大企業ではもちろんのこと、中小企業でも会計ソフトの導入で簿記の知識がなくても経理業務がこなせるようになっています。分野に限らず、ソフトで置き換えられるようなスキルは、もう武器にならないのです。

10年ほどで激変する


 私が若い頃は、国内外資系のバイリンガル秘書の募集も多数あり、ベテランであれば年収1000万円を稼ぐことも可能でした。しかし、20年ほど前から電子機器の発達などにより、まず本国で秘書系ポジションは、どんどん消えて行きました。

 会社の電話は受付でなく、直接、個々の担当者の電話やボイスメールにつながるようになり、上司が手書きで書いた手紙やレポートを秘書がタイプしていたのは、上司が自分でタイプするようになりました。

 そしてインターネットの登場で、過去10 ~15年ほどで仕事の仕方は激変しました。スマホが広く普及したのも、ここ数年のことですが、数年で結構、変わりますよね。それも、変化のスピードは、どんどん速くなっています。

 以前、アメリカでは金融危機後の大不況の間、自動化によってルーティーン職が激減したという話を書きました。

 将来を見誤ると、年を取ってからHさんのような結果になりかねません。Hさんは、その後、フルタイム(正社員)の仕事が見つからなかったため、62歳で老齢年金の繰り下げ受給を開始し、細々とした生活を続けています。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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