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有元美津世のGet Global!

Blackface(黒塗り)の問題2018.01.16

 

   日本で年末に放映されたバラエティ番組で、芸人がE・マーフィーに扮し、黒塗りをしたことが物議を醸しました。

 この物議は、海外でも一部報道されました。BBCでは、関連ツイートをいくつか引用し「日本国内で、こんな議論が起こっている」という扱いで、両サイドの意見を紹介しています。ニューヨークタイムズ紙でも、両サイドの意見を紹介しているものの、批判的な内容でした。「BlackfaceがNGで人種差別であることを知らないのは日本だけ?」という在米白人男性のツイッターを紹介し、*  2015年のももいろクローバーZの黒塗り騒動にも言及しました。この騒動とは、黒塗りしたももクロとラッツ&スターの写真が番組放送前に出回り、何千人という人が「この番組は放送しないでほしい」という嘆願書に署名した結果、テレビ局は、その部分をカットして放映したというものです。

Blackfaceの歴史


 英語では、演技などのために、主に黒人以外の人が黒塗りをして黒人に扮することをblackfaceといいます。19世紀にアメリカで、blackface minstrel show(黒塗りエンタメショー)として人気を博し、イギリスにも広がりました。顔を黒塗りしただけでなく、唇を厚くして縮れ毛のかつらをかぶるなど黒人の特徴を揶揄して笑いものにしたものでした。(さらに、白い手袋をつけており、黒塗りに白い手袋のラッツ&スターは、それを彷彿させるもの。)

 Blackfaceは人種差別的として、アメリカでは公民権運動の高まりとともに60年代以降、行われなくなりました。ですから、アメリカ人にしてみれば、「21世紀にもなって、日本は、まだこんな人種差別的なことが許されるの?!」という反応になるわけです。

 アメリカでも、未だ、ハロウィーンのときに黒塗りして黒人キャラクターに扮する人などがいて、物議(+抗議)を醸すことがありますが、blackfaceがテレビに登場することは考えられません。タブーと言っていいでしょう。

 なお、アメリカでは、東アジア系を揶揄する扮装として、細い目に牛乳瓶の底のような眼鏡と出っ歯が定番でしたが、それも人種差別的ということで30年ほど前から見なくなりました。

大事なのは対象となる側の受け止め方

 
 今回の騒動の擁護派には「やってる方に差別意識はない」「黒人をリスペクトしてのこと」という人がいますが、大事なのは、行為をしている側の意図ではなく、そうした行為の対象になった側がどう受け止めるかでしょう。黒人の人たちの大半は、blackfaceによって「リスペクトされている」とは考えていません。「傷つけるつもりはなかった」ですめば、セクハラやパワハラの多くも問題にならないでしょう。

 現に、日本在住のアフリカ系アメリカ人の人たちが何人かツイッターで、#StopBlackfaceJapan  #日本でブラックフエイス止めて というタグで止めるよう呼びかけています。(なお、その中にはラッツ&スターなどのグループが黒塗りを止めるよう芸能界に働きかけた人もいます。)

 テレビでblackfaceが放映されることで影響を受けるかもしれない人たちが「止めてほしい」というのに、なぜ続けるのでしょうか?(「大半の視聴者は差別的だとは思わなかった」という反論はワケがわかりません。大半の視聴者は日本人、それも海外居住経験がなく、自らが人種差別の標的になったことのない人たちなのですから。)

 「白人の真似はいいのに、黒人ならダメなの?」という意見もありますが、4年前、白人に扮するのに芸人が高い鼻をつけた航空会社のCMが、日本在住の白人から抗議を受けて、変更されました。

 その時にも書きましたが、「グローバル化」「多様性と共生する」とは、こういうことなのです。日本でも、海外生まれの住人が増え、これまで”あたり前”であったことでも、あたり前ではなくなることも出てくるのです。

 とくに皆さんのように「国際的な仕事がしたい」「海外で働きたい」という人たちは、blackfaceは世界的にはタブーであるということを心に刻んでおく必要があるでしょう。


* 日本だけではありません。過去2ヵ月だけでも、オーストラリア、イギリス、台湾などで問題になっています。オランダでは、19世紀の絵本のキャラクターであるBlack Peteに扮して黒塗りをするクリスマス行事、スペインでは最大のクリスマス行事、Los Reyes Magosのパレードが1月初旬に行われますが、王様3人のうち一人が黒人(ムーア系)で、観衆も黒塗り(+分厚い唇)して参加するため、人種差別的として批判されています。どちらも廃止するよう国連に働きかけが行われています。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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