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有元美津世のGet Global!

ミレニアム世代の流儀?― Ghosting(バックレ)2019.01.08


 新年おめでとうございます。このコラムを始めて、すでに6年目に入りました。今年も、よろしくお願いします。

 年末年始の休み明け、「仕事に戻りたくない」「このままバックレたい」という人もいるのではないでしょうか。 

 日本では「バックレ退職」なんていう言葉もあるようですが、アメリカでも、ある日、突然、社員が出社して来ず、連絡も取れなくなってしまうというghostingと呼ばれる事態が増えています。Ghostingとは、元々、主に出会い系サイトやアプリの世界で、突然、音信不通となって、交際相手との関係を自然消滅させる、という意味で使われた表現です。 

 その表現が職場でも使われるようになったわけですが、「上司に頭に来たので、ランチに行って、そのまま職場には二度と戻らなかった」なんていう人がいたり、「退職をどうやって切り出したらいいかわからない」という人もいるようです。

 日本で人気を得つつある退職代行サービスを利用する理由には、「上司からパワハラを受けている」「辞めたいと言ってもなかなか辞めさせてくれない」というのが多いようですが、アメリカでも「辞めるとわかると、退職日までパワハラ上司に酷い目に遭わされるのは目に見ているから」とか、「辞めると言ったら引き留められ、『この業界は狭いんだから』と上司に脅された」というのがghostingの動機になっています。

 中には、「職場が大嫌いだったので、困らせるために、わざとバックレてやった」なんていう確信犯も。

 さらに、採用の面接に現れなかったり、仕事初日に現れないなんていう人もいて、雇用先は「今時の若者は...」と頭を悩ませているのですが、ghostingする側に言わせると「面接に落ちても、企業から何の通知も来ないことなんていくらでもある。こちらから問い合わせてもナシのつぶて。自分たちは応募者を無視しておいて、応募者が雇用側を無視するのはいけないというのか!」という雇用先には耳の痛い意見も。

売り手市場が背景に


 アメリカでは、ghostingは、昔から建設業やサービス業などの低賃金職では珍しくなかったのですが、金融業界を含めホワイトカラー職でも見られるようになったというのが最近の傾向です。 

   こうした背景には、失業率が過去数十年で最低で、雇用は売り手市場であり、「他にいくらでも仕事がある」という就労者の強気があります。

 さらに、ghostingは、アメリカだけでなく、イギリスやオーストラリアでも、数年前から見られるようになり、ミレニアム世代に多く見られるようです。

 当然、ghostingは「マナー違反」として、雇用主や人材業界では評判が悪いです。「紹介した勤務先をghostしておいて、数年後に『転職先を探しています』と戻ってきた人がいるけど、もちろん、お断り」と人材紹介業者に言われても、仕方ないですね...

 雇用市場が永遠に順調なんていうことは、ありません。過去のghostingを後悔する日が来ないことを祈ります。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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