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有元美津世のGet Global!

中欧について学ぶ(6)ー スロベニア2019.12.17


 今回は、スロバキアと間違えられることの多いスロベニアについてです。

 海岸線のない内陸のスロバキアと違い、スロベニアは、40数キロと短いものの、アドリア海のトリステ湾に面した海岸線があります。

 四国ほどしかない国土に、南は海岸から北はアルプスまでを擁する自然美がスロベニアの魅力と言えます。アメリカは、今、スロベニアブームで、首都のリブリャナはアメリカ人観光客で溢れているのですが、西欧の街と変わらない小都市リブリャナよりも、(ジュリアス・シーザーが名前の由来となった)ジュリア・アルプス山脈(Julian Alps)がお勧めです。

旧ユーゴスラビア


 スロベニアは、西スラブ系のチェコやスロバキアとは違い、南スラブ系言語を話す南スラブ系の国です。南スラブ系は、平たく言えば、旧ユーゴスラビア+ブルガリアから成ります。

 スロベニアもオーストリア・ハンガリー帝国の一部でしたが、第一次世界大戦後、帝国の解体と同時に、初の南スラブ人の独立国としてスロベニア人・クロアチア人・セルビア人王国を建国。これが、後にユーゴスラビア(南スラブ民族の国という意)と改名されました。

 第二次世界大戦では、スロベニアはドイツ、イタリア、ハンガリーによって占領分割されて、多大な犠牲を払いました。戦後はユーゴスラビア社会共和国社会主義となりましたが、ソ連とは非同盟の関係を貫き、距離を置いたものの、ユーゴスラビア国内が内乱続きで、1991年には、最初にユーゴスラビアから分離独立することになったのです。

 その後、民主化を進め、2004年には念願のEUとNATOに加盟し、2007年にはユーロを導入する初の旧社会主義国となりました。

 ちなみに、スロベニアは、旧ユーゴスラビア国で、唯一ゴミをリサイクルする国で、廃棄物の3割を再利用できているそうです。

数カ国語を操るスロベニア人


 スロベニアの公用語はスロベニア語ですが、ハンガリー語やイタリア語を母語として話す国民もいるため、両語は準公用語として定められています。イタリアと国境を接するスロベニアは、EUの中で、イタリア語を第二語として話す人口がもっとも多いそうです。

 スロベニアで驚いたのは、英語がネイティブ並みに話せる人が多い点で、今回、訪れた7ヵ国の中で一番英語が通じました。また、英語だけでなく、2~3か国語話せる人たちも多いのですが、これは、第二次世界大戦時にドイツとイタリア、ハンガリーに占拠されたことが影響しているようです。

 なお、「スロベニア語」「スロベニア人」は、英語では”Slovenian”と”Slovene”の両方が使われるのですが、この違いに関しては、長い間、論争が行われており… スロベニア人自身は、”Slovenian”を好むようです。

Barron Trump speaks English, Slovenian and French. *
(バロン・トランプは、英語とスロベニア語とフランス語を話す。)


* トランプ大統領の最年少の息子。メラニア夫人は(ユーゴスラビア時代の)スロベニア生まれ。

ネットで、”Does Barron Trump speak Slovak fluently?”と聞いている人がいましたが、「英語話者の父親とスロバニア語話者の母親の下、息子がスロバキア語ができるようになるなんて、最高だね。言語に興味があるのかもね」と嫌味たっぷりに答えている人が。こうやって、2つの国を混同する人が世界中にゴマンといるのでしょう...

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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