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タカシの外資系物語

マレーシア研修顛末記 ( その3 )2010.06.29

80人中 75位の タカシ?

 (前回の続き) マレーシアのクアラルンプールにて、研修に参加中のタカシ。日本人の参加者が 10 名で、全体を 4 クラスに分けるため、普通に考えると、1クラスあたりの日本人は2~3人になるはず。しかし、いざフタを空けてみると、クラスCの日本人は、なんと私ひとりだけ!果たして、タカシはこの危機を切り抜けることができるのでしょうか ?!


「クラス A = 3 人、クラス B = 3 人、クラスC = わし 1 人、クラス D = 3 人・・・って、どんな配分やねん! 嫌がらせかぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!(T-T)」
・・・と叫んでみたところで、どうにもなりません。日本人の同僚がいるクラスに変えてくれ! などと言えるはずもないわけで、このクラスで孤軍奮闘、頑張るしかないのです。


後から気づいたのですが、やはり事務局はバランスを考えてクラス分けを実施していたようです。ただし、日本だけでバランスを考えたわけではなく、日本は韓国と抱き合わせで配分されたようです。なぜなら、韓国からは 2 名が参加していたのですが、その 2 名とも私と同じクラス C でしたから。


わが社では、世界を 3 分割して管理しています。Americas(北米・南米)、Europe(ヨーロッパ、アフリカも含む)、そして日本が含まれる Asia Pacific(APと省略されることが多い)。APは、日本・韓国・中国・東南アジア諸国・インド・オセアニア諸国で構成されています。


研修や会合も、上記 3 エリア毎に実施されるわけですが、クラス分け・チーム分けにはかなりの配慮がされているようです。同じ国の人ばかりが集まってチームを作ったのでは、海外研修の意味がありませんので、地域的にバラされる。それに加え、AP の場合は特に、「英語能力のバランス」に留意しているとのこと。ちなみに、AP に所属する国(地域)を英語能力順に並べると、以下のような感じだと思います。


【Asia Pacific地域の英語力ランク】
(1) オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)・インド ・・・ 完全なネイティブ
(2) 中国・東南アジア諸国 ・・・ 80%以上がネイティブ並み
(3) 韓国・日本 ・・・ ネイティブではない人が多い


もちろん、細かい話をすれば、(1)~(3)の中でも序列はあります。韓国と日本を同列に扱っていますが、実際には、一般的な英語力は明らかに韓国の方が高い。韓国で一番できない人と日本で一番できる人が、ほぼ同じレベルではないでしょうか。つまり、全体の参加者が80名で、うち日本人が10名だとすると、下から10人が日本人だと思った方がいい。ひいき目に見ても、私は75位ぐらいでしょう。トホホ・・・ こんなんで、大丈夫なんじゃろうか・・・ (T-T)

タカシ、はじける宣言

英語力において、上記(1)~(3)の差が出る理由は明らかです。それは、「英語をどれだけ使っているか ? 」ということに尽きるのです。
(1)はon-time、off-timeとも英語、つまりずっと英語の国。(2)はon-timeは英語、off-timeは母国語であることが多い。そして(3)はon-time、off-timeとも母国語であることが多い。しかし韓国では、大企業をはじめとして、ビジネスでは英語を使っている割合が高いようですので、こういうところで、100%日本語しか使わないわれわれとの差が出ているように思います。


しかし、こんなことでたじろいでいてはいかんのです ! そもそも私は英語のスピーチをするために、はるばるマレーシアまでやって来たわけではありません。研修を受けに来たのです。わが社 Asia Pacific の代表として、会社から参加を認められているのです。しり込みすることなど全くなぁーーーーーーーーーーい ! 
日本人が改善すべき点は、英語ができないことをいいことに、積極的に取り組もうとしないことではないでしょうか。たとえば、“積極性” という観点でAP諸国をランク付けすると、以下のようになると思います。

 

【Asia Pacific地域の“積極性”ランク】
(1) 中国・インド ・・・ いけいけドンドン系
(2) オセアニア諸国 ・・・ その場を仕切ることが多い
(3) 東南アジア諸国・韓国 ・・・ 基本的に静かだが、言うべきときには言う
(4) 日本 ・・・ 仮死状態

 

「おーーい ! 大丈夫かーーーーーーっ ! 寝るなーーーーーーーーっ ! 寝たら死ぬぞーーーーーーーーっ ! 」 まるで、雪山の遭難者のような状態。これが典型的な日本人です。一方、中国人やインド人は、本当に「寝たら死ぬ」と思っている。だから常にハイテンションで生きています。国民性と言ってしまえばそれまでですが、彼らを見ていると、長期間にわたって政治的・経済的に支配・抑圧されていた状態から脱出して、その自由な状態を謳歌しているように思えてならない。爆発的な経済発展を止めてはならない。次から次へと手を打つのだ。寝ている暇などない・・・ こんな感じです。


何もしないで、時間が経つのを我慢して待つのも策でしょう。しかし、せっかく参加しているのですから、少しぐらい羽目をはずして、はじけた方が楽しいに決まっています。クライアントや上司が見ているわけではないのですからね! 人生、目一杯エンジョイした方がいいに決まっているのです!

タカシ、“つかみ” はOK !

私が所属することになったクラス C は総勢 20 名で、それをさらに 4 チームに分けることになりました。私のチームは、Tony(オーストラリア)、Xu(中国、“シュー” さんと発音します。漢字なら “徐”さんです)、Siripong(タイ、“シリポン” さんです)、Indrahan(インド、“インドラハーン” さんです)、私の計 5 名。名前を見るだけでも、国際色豊か、まさに外資系企業の研修って感じですよね。


一通りの自己紹介が終わると、早速研修開始。最初の作業は、「チーム名の決定」です。
(注:以降の会話は全て英語でなされたのですが、面倒なので日本語で記載します)
Tony 「さて、どうしようかね ? 」 
Xu 「Team “Brazil” ってのは、どう? 強そうだし・・・」
Siripong 「でも、Asia Pacificじゃないし・・・」
Indrahan 「うーーん・・・」


大チャンスです。こういうときこそ、画期的なネーミングを披露して、チームのみんなに認知してもらわねば・・・
私 「映画のOceansシリーズをもじって、”Oceans 5” っていうのはどう? 俺たちの出身って、太平洋・インド洋といった海に面してるし。それに、映画の主人公たちのように、華麗なプロフェッショナルって感じでいいんじゃない ? 」
Tony 「いいね、”Oceans 5” に決定!」
私 「じゃ、Tonyはジョージ・クルーニー、Xuはマット・デイモン、俺はブラット・ピットってことで・・・」
チーム内大爆笑 !
Belinda(隣のチーム所属のニュージーランド人) 「じゃ、私はジュリア・ロバーツね ! 」
教室内大爆笑 !! よし、何とかやっていけそうです !


・・・ しかし、調子が良かったのは最初だけ。この先、今年、いや人生最大のピンチがやってこようとは、この段階では知る由もなかったのです、ハイ・・・(T-T)(T-T)(T-T)
(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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