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タカシの外資系物語

外資と“限界集落”(その2)2014.09.23

タカシ流 不良にからまれたときの対処法とは?!


(前回の続き) IT業界で “女帝” の異名を持つ、株式会社ウィズグループ社長の奥田浩美さんのラウンド・テーブル(討論会)に参加したタカシ。最新ITの話が出ると思いきや、彼女の口から発せられたのは“田舎”“限界集落”といった、一見するとITとは相容れない言葉でした。会場全体に“?” マークが飛び交う中、私の脳裏には、田舎(限界集落とまではいかないが、それなりに田舎)で過ごした子供時代の思い出がフラッシュバックしてきたのです・・・

学校帰り、いつものように相棒のOくんと、地域に1つしかない“デパート”(単なる2F建てのスーパー・マーケットなのですが、地域の人はみな、“デパート” と呼んでいる)の屋上に行ってみると、“玉座”(これも、単なる木製ベンチに座っているはずの大番長Yの姿が見えません。

「お前ら、何メンチ切ってんねん!」=(標準語訳:お前ら、ガン飛ばしてんじゃねーよ!)


見ると、新たな不良集団が、われわれの方にジリジリ向かってきます。どうやら、Y率いる軍団は、この新興勢力に敗れたようです。Oくんと私、大ピーンチ!!!


さて、Oくんと私は、この窮地をどのように脱したのか? 


「よし、プランBでいくぞ!」「OK!」 


小声で “作戦” を確認したわれわれ2人は、何と、仲間割れの喧嘩を始めたのです。


Oくん「お前のせいで、カツアゲされとるやんけ! どないしてくれるんじゃーーっ!!」

私「何やとー、お前の目つきが悪いから、こうなったんちゃうんかーーっ!!!」
 

唖然とする不良集団を横目に、取っ組み合いの喧嘩を始めるOくんと私。
 

新番長「おいおい、やめろやめろ。わかったから、もうやめろ! お前ら、こっち来いや!! 俺の仲間に入れ!!!」

Oくん&私「へい!(岡っ引きか!)」
 

ふーーーっ、何とか助かった・・・ 心臓、バッコンバッコンですがな・・・ 汗っ!

あなたは“コンプラ”に守られている?!


世の中にある、どんな些細なルールにも、それが作られた理由や背景があります。それなりの知識レベルの人が考えて、不公平を極力排除して作られている、ハズです。もちろん、時代にそぐわなくなったり、そもそも考慮がされていなかったり、といった不十分な点は、追加や削除・修正などして、ブラッシュアップをする必要があるでしょう。しかし、「横断歩道のないところでは、道路を横断しない」というのは、ルールというより、ほぼ“真理”に近い。だれかが大怪我をするとか、人命にかかわるといった緊急的な特殊要因があれば別ですが、他人が見ていようが見てなかろうが、ルールはルールなのですから、守らねばならないのです。

自分なりのルールを作りたければ、ルールを作る側に立たなければなりません。会社なら経営層、社会全般なら政治家ですね。政治家になるのは難しいでしょうから、私を含めた一般人には、言論や集会の自由が認められており、“選挙” で政治家を選ぶというプロセスが用意されています。会社の場合は、“組合” という制度がありますが、選挙ほど直接的な実行力はありません(“デモ”で実力行使できなくはないですが・・・)。ですから、経営層が決めたルールに従いたくないなら、会社を辞めるしかないかもしれません。

「とはいうものの、実際のところ、法律やルールに縛られて、がんじがらめにされているよなぁ・・・」 

本当にそうでしょうか? 私は違うと思います。法律やルールがあるからこそ、われわれは守られているのです。“自由”というのは、法律やルールの範囲内で、いかに創造性豊かに、進取の精神で取り組むか、自分の能力とスキルを鍛錬し発揮するか、ということであって、法律やルールそのものを破ることではありません。

“コンプライアンス” も同じことです。コンプラ自体、何もおかしいことは言っていない。なのに、“コンプラ疲れ” とか、挙句には、“コンプラがイノベーションを阻害している” とか、誤解も甚だしい。コンプラを遵守していれば、企業はあなたを守ってくれるのです。あなたは、その範囲内で大暴れすればいい。範囲内であれば、会社という頼もしい用心棒があなたを守ってくれるのです。

かつて人間が生み出したイノベーションの中で、コンプラの外に存在するようなものは1つもありません。“コンプラがイノベーションを阻害している” という輩は、発想力のなさを、コンプラに八つ当たりしているだけなのです。

50m先の横断歩道を歩く勇気


つかみどころのない話を長々としてしまいました。それほどに、残念だったのです、例のSTAP細胞の件が・・・。小保方さんはじめ、共同研究をされたみなさんを非常に評価していただけに、本当にショックでした(No.650 『STAP細胞と日本人』 No.651 『“リケジョ”と外資系』での、私の“はしゃぎぶり”を参照のこと)。

ただし、TVのワイドショーやネットでの噂話は無視した方がいい。これらのメディアは、火のないところに煙を立てる 名人ですから。あっという間に冤罪を作ることぐらい、お茶の子さいさいです(ワイドショーやネットが、どのように冤罪を生んでいくのか、湊かなえさん原作の 『白ゆき姫殺人事件』を読むと、非常によくわかります。映画化もされたようですので、興味のある方は是非ご覧ください)。

新聞等、ある程度信頼できるメディアを見る限り、やはり小保方さんは一線を越えてしまった、といわざるを得ない。学会や理研がプロテクトしてくれる範囲を超え、“ルール違反”と引き換えに、“一瞬の陶酔感”になびいてしまった。惜しい・・・

もちろん、まだわからんのですよ、実際のところは。事実は違うところにあるかもしれない。ですが、学者にとって、自分の論文は “わが子” みたいなものだと思うんです。親が “わが子”に対して、改ざんデータを使ったり、多数の凡ミスを犯したりするでしょうか。比較にならないかもしれませんが、私にとっては、1つ1つのコラムが、“わが子”と同様に愛おしい。毎回脱稿が締め切り間際になるので、誤字脱字があることは否定しませんが、内容の改ざん、ウソは一切ついていません。それは、わが子を傷つけることと同義だからです。だからこそ、今回の件は、本当に残念なのです。

わが社のUS本社社長は、以下のことを、繰り返し述べています。

「コンプライアンスの遵守は、全社員の義務です。例外はありません。同時に、コンプライアンスを遵守している限りは、会社は全力であなたを守ります。そして、より重要なことは、だれも見ていない場面でも、不正を働かない強い意思を持つことです・・・」

わが社の経営は、私と同じ考えに立ってくれている。だから、私はこの会社が大好きです。小保方さん、あなたは自分が所属する理研が好きですか? 学問が好きですか? 将来、STAP細胞が多くの命を救うことを願っていますか? ならば、だれも見ていなくても、どんなに面倒でも、50m先の横断歩道を渡るべきだったと思います。一方で、この一件で優秀な才能を潰してしまわぬよう、われわれ社会が寛容な立場を取ってやれるよう、一個人として努力したいと思います。では! 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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