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タカシの外資系物語

No ? Yes ! New York !!(その4)2017.07.04

『ミス・サイゴン』の次に、タカシが観たのは?!


(前回の続き)前回までは、ブロードウェイ・ミュージカル『ミス・サイゴン』観劇時に起こった事件についてお話ししました。引き続き今回も、エンターテインメントから垣間見ることができるアメリカ事情についてお話ししたいと思います。

いやぁ、『ミス・サイゴン』、ホントに良かった・・・(T-T)。ま、隣の白人男性の無神経な行動がなければ、完ぺきだったんですけど!(怒!) その腹いせというわけではありませんが、翌日もミュージカルを観ることにしました!!(って、なんや、それーーーーーーーーーーーーーーーっ!) いやね、クライアントとディナーの予定があったんですが、急きょ、翌日のランチに変更されたんで、時間が空いちゃったんですよ、ハハハ・・・。決して、ニューヨークに遊びに行ってきたわけじゃないんで、くれぐれも誤解なきよう・・・。

観る演目は、既に決めていました。それは、“今、ブロードウェイで最も人気があるタイトル”です! ただし、こういうのに限って、日本人のテイストに全く合わなかったりするんですが、ま、そのときはそのときということで・・・。今回の観劇は、あくまでも社会勉強、言うなれば仕事の一環ですからね・・・(と、あくまでも出張のアクティビティとしての正当性を主張するタカシ・・・)。

で、ネットに掲載されているブロードウェイ・ミュージカル今週の人気No.1 は? どんっ!!

Kinky Boots


って、何それ? いや、知っているんですよ、話題になっていること。シンディ・ローパーが全編作詞・作曲していて、数年前に映画にもなってるし・・・。でも、kinkyって、あんた・・・(意味わからん方は、調べてみてください)。心の中のもう一人の自分が、


「悪いこと言わないから、“レ・ミゼラブル” とか “キャッツ” とか、はずさない演目にしといた方が、いーーんじゃねぇのーー!」

 

と囁きまくっていたのですが、ここは初志貫徹。『キンキー・ブーツ』に決めました。例のごとく、ネットでチケット購入、ポチッ! って、これまた、めっちゃ高いし! 『ミス・サイゴン』の1.5倍ぐらいするし!! ちゅうことで、『キンキー・ブーツ』が上演されている、‘Al Hirschfeld Theatre’ に向かったのです!

“Kinky”に並ぶのは、高校生・・・?!


劇場の周りは、長蛇の列でした。当日券の販売はないので、全員が前売りを持っているはずなのですが、手荷物検査で手間取っている模様。手荷物検査ってったって、めっちゃ緩いんですけど・・・。

並んでいて驚いたんですが、高校生の団体が観に来てるんですよねぇ、修学旅行のアクティビティかなんかなのでしょうか・・・。それにしても、Kinky Boots ですからね、これ・・・。ええんか、こんなん見せて、って感じですけど。

私の席は、オーケストラでした。めっちゃ高いんですけど、仕方ない・・・、仕事なんで・・・(って、しつこいし!)
 

「いやぁ、良かった・・・ 人生ベスト1のミュージカルやないですかぁ・・・(T-T)」
 

観終わった直後は、だいたい、こう思うんです、どんなミュージカルも! でも、このKinky Bootsは、ホントに良かった! ストーリーはすごく単純でして、老舗の靴工場が、安価な大量生産品に押され、経営が危機的な状況となります。先代社長が亡くなって、突然経営者になった若社長は、会社存亡の危機を救うために、超ニッチなマーケットに進出することを決意します。そのマーケットとは、ショービジネスで活躍するゲイの人向けの超かわいいオーダーメイド・ブーツだったのです!
 

このミュージカルは、主演のLola役に尽きますね。芝居自体は喜劇なので、関西出身の私にとっては、“吉本新喜劇”のノリで進んでいくんですが、扱っているテーマは非常に重い。要は、性的マイノリティである、ゲイのLolaを、社会がどのように受容していくのかを描いたドラマなんですよね。で、このミュージカルのすごいところは、ゲイであることは儲かることなんです、ゲイに投資することはビジネスとして成り立つんです、ということをアピールしている点でしょう。まさに、GLBT時代の必見ミュージカルといえるのではないでしょうか。
 

実はこれ、日本版も上演されていて、Lola役は三浦春馬さんが演じています。すごい演技力とパフォーマンスが要求されるこの役、三浦さん演じる Lolaも是非観てみたいもんです。

“Kinky”を勧めるアメリカの底力


アメリカのすごいところは、この作品を、高校生に勧めているところでしょう。高校生の団体は、3F席に陣取っていたようなのですが、ものすごい盛り上がりでした。まず、ショービジネスというものが素晴らしい職業であることを理解させる。ついでに、GLBTに対して認識させ、自分の周りにいる対象者(もしかしたら、自分自身)を認め、受容する。学校側の狙いは、その2つの目的を同時達成することであり、そこに躊躇がありません。本当にすばらしいと思います。
 

先日発表されたアカデミー賞作品賞は『ムーンライト』でした(事務局の手違いで、当初『ラ・ラ・ランド』と発表して、大混乱になりました。両作品とも、素晴らしい内容であることは間違いない!)。この『ムーンライト』 も、GLBTを扱った作品です。

10年ほど前、名優 ジェイク・ジレンホールを擁して高い評価を得た『ブロークバック・マウンテン』以来、ゲイを対象にした、多くの作品が制作されてきました。一部には、「アカデミーで評価されるには、ゲイを扱うのが手っ取り早い」と揶揄する声もあるようです。しかし、私はこの意見については、全くの的外れだと考えています。

現在、この日本において、全人口の 7.6%が性的マイノリティ、いわゆるGLBT に該当すると言われています。13人に1人、割合で言うと、左利きの人、AB型の人と、ほぼ同じとのこと。みなさん、そんな実感ありますか? 正直言って、私はありませんでした。そして、今この瞬間ですら、実感できていません。なぜか? 私の周りのGLBTの方が、それを隠しているからです。本当の、ありのままの自分を表現できずに生きていくこと、それは本当につらいことだと思います。しかし、われわれの多くは、それを無意識にうちに強制しているのです。

だから、知らないといけない。ミュージカルや映画の形ででもいいので、広く社会に認知させ、啓蒙していく必要があるのです。それを、やってしまうアメリカ社会というのは、やっぱりスゴイ! それを高校生に見せて、Lolaに大声援を送る、アメリカ人って、相当スゴイ!! と思うんですよね。『Kinky Boots』そして『ムーンライト』 も是非おススメします。
 

次回からは、いよいよ(やっと!) NYのビジネス事情についてお話を始めたいと思います。

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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