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タカシの外資系物語

日本は今こそ Philippine に学べ?!(その5)2017.10.24

フィリピン人材のスキルの特長とは?!


(前回の続き)
 フィリピンの “オフショア・センター”(先進国企業のIT関連業務を請け負うアウトソース組織)を訪問しているタカシ。苛烈な人材の引き抜き合戦が繰り広げられるマニラにおいて、最も有効なリテンション(引き留め)策とは、何なのでしょうか?

 

前回のコラムでもお話ししたように、マニラには、非常に質の高い人材がいます。ここでいう “質の高い” を定義してみると、以下の通りとなります。

(1)英語ネイティブ

(2)日本語が堪能である

(3)ITリテラシーが高い

(4)ビジネス・リテラシーが高い

(5)真面目である
 

(1)と(5)は文字通り、ということで説明省略。


(2)と(3)は、「and/or」の関係で、どちらか一方の場合もあります。もちろん、「and」の方が、よりハイスキルな人材であることは言うまでもないですが。日本企業のオフショア業務の場合、その多くは「and」の人材だと思います。


(4)は少し補足しましょう。ビジネス・リテラシーとは何か? それは、資料作成・会議のファシリテーション・プレゼン等々、昨今のビジネスパーソンに要求される基礎体力みたいなもんですね。フィリピンの人材は、これらの能力が異様に高い。ホント、「あなた、MBAですか?」って、ぐらいに・・・。


(2)(3)(4)は後天的な要素が強いスキルです。フィリピンの場合、大学教育が実務的・実践的なので、若くして即戦力人材が育つとのこと。このあたりは、日本とは対照的ですね。

フィリピン企業における人材育成施の考え方


さて、実はここで終わらないところが、フィリピンの強さなのです。実務的な教育・訓練を受けた即戦力人材が就職し、さらに、継続してその能力をどん欲に高めていく、これが国際的な競争力を維持し続ける源泉となっているのです。それはどのような仕組みで成り立っているのか?

 

フィリピンでは、ITやビジネスのリテラシー向上、さらには、日本語をはじめとする言語能力の習得に関し、非常にニーズが高い。よって、企業が社員のニーズを満たすよう、様々な研修/トレーニング・サービスを提供しています。

 

例えば、わが社のマニラ・オフィスのWebサイトをのぞいてみると、マイクロソフトやJavaなどのIT系スキルから、日本語などの語学プログラムなど、様々な研修/トレーニング・サービスがカフェテリア形式で提供されています。これらは原則無料で提供されますので、やる気さえあれば、社員は自身のスキルをどんどん向上させることが可能なのです。

 

もちろん、スキルが向上した社員は、他社から引き抜かれるリスクも増えるわけで、考えようによっちゃ、危ない施策なんですよね。しかし、それを考える以前に、社員のスキル向上ニーズに応えるトレーニングを提供できなければ、即刻、会社に見切りをつけられてしまうことになります。よって各企業は、以下のようなサイクルを回し続ける必要があるのです。

 

社員に高度なトレーニングを提供する → 社員のスキルを上げる → より高度な業務・役割にアサインし、給料を上げる → さらに、高度なトレーニング機会を提供する ・・・

 

このサイクルが、一カ所でも機能不全に陥ると、社員は他社に流出してしまいます。ま、企業の人事・教育担当としては、一瞬たりとも気が抜けないわけで、結構大変なんですが、冷静に考えると、極めて健全な仕組みであると言えなくもありません。

 

最近、日本のビジネス社会では、“働き方改革” が真っ盛りですが、残業を減らす云々の改革と並行して、上記のような施策も取り入れていかないと、日本のビジネスパーソンのスキルダウンが深刻な状態になってしまうと思うのは、私だけでしょうかね・・・?

フィリピン人が、フィリピンにとどまる理由とは?!


ランチを取りながら、フィリピン企業の人材リテンション策について、Taoさんから説明を受けた私。納得しきりの私に、Taoさんは、さらに興味深い話を教えてくれました。

 

Taoさん 「タカシさん、実はフィリピンの強さは、それだけではないのです・・・」

私 「と、言うと?!」

Taoさん 「フィリピン人は、相当なスキルを持った人材でも、“海外” に出ていくことはまれです。マレーシアやシンガポールに行けば、もっと稼げる可能性があるのに、です。同業他社に移ったとしても、フィリピンを離れようとはしない。なぜだか、わかりますか?」

私 「なぜでしょうね・・・?!」

Taoさん 「それを説明するのに、一目瞭然の職場をご紹介したいと思います。私についてきてください!」

 

そこで私は、フィリピンの真の強さを知るとともにフィリピン・オフショアの課題も思い知ることになります。詳細は次回、このテーマの最終回でお話ししたいと思います。

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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