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タカシの外資系物語

日本は今こそ Philippine に学べ?!(その6)2017.10.31

シンガポールでは働けない?!

 

(前回の続き)英語・日本語バイリンガルで、IT業界では引く手あまたのフィリピン人材。欧米やシンガポールに渡って、さらなる飛躍を狙う人が多いのでは・・・? と考えたところ、フィリピンを離れる人はほとんどいないのだとか。その理由とは?!

 

Taoさん 「フィリピン人は、相当なスキルを持った人材でも、“海外” に出ていくことはまれです。マレーシアやシンガポールに行けば、もっと稼げる可能性があるのに、です。フィリピン国内の同業他社に移ったとしても、フィリピンを離れようとはしない。なぜだか、わかりますか?」

 

Taoさんによると、優秀なフィリピン人材が国外に流出しない理由として、以下が挙げられるとのこと。

 

(1)欧米に行く!といった、思い切ったことは、相当なスキルを持った人でもなかなかできない。一方で、シンガポールなどのアジア先進国では、就労ビザが下りない

(2)家族と離れられない

(3)フィリピンで働くことを、誇りに思っている

 

(1)について、スキルも相応にあって、チャレンジ精神も旺盛なのだが、欧米でチャレンジするには二の足を踏む・・・というのは、わからんでもないですよね。仮に、私がもう少し英語ができたとして、欧米に飛び出すか・・・、というと、やっぱり考えちゃいますもんね。

 

一方で、欧米とは言わないまでも、シンガポールあたりでチャレンジ! ってわけにもいかないんですよ、これが。例えば、シンガポールという国は、自国に対して、メリットを与えてくれる(=技術供与、案件開拓)人以外は、就労ビザを発行してくれません。“自国に対して、メリットを与えてくれる” をどうやって判断するかというと、年収が判断基準となります。だから、日本人はほぼOK。一方で、フィリピンのように、安価で優秀な人材というのは、ビザが下りないのです。

 

これは、シンガポールが国家施策として行っているものです。シンガポールのような小国が、国家としての “ブランド” を維持していくためには、周辺国からの安価な労働力を受け入れるわけにはいかん! というわけでして、とかく移民問題のような話題に疎い日本人には、目が開かされる思いがします。

フィリピンは大家族!


(2)については、フィリピンが依然として、発展途上であることを再認識させられます。フィリピンの典型的な家族構成は、親子三代+親戚縁者といった感じで、10名以上が同じ場所に住んでいるとのこと。戦前の日本のようなイメージでしょう。大企業に勤める働き手は、金銭といった物理面のみならず、精神的な支柱として、家族全員を養っていく必要があるため、フィリピンを離れられないのだとか。

 

加えて、フィリピンは国の北部(マニラ)、中部(セブ)は発展著しいのですが、南部が取り残されています。南部には、イスラム勢力が入り込んでいて、テロ組織の温床になっています。北部・中部でドロップアウトしてしまった若い人たちが、南部のイスラム組織に入ってしまう例も後を絶たないことから、家族を残して海外に行くという決断ができないという側面もあるようです。

 

最後に、(3)について理解するために、Taoさんが素敵なオファーをしてくれました。

 

Taoさん「(3)を説明するのに、一目瞭然の職場をご紹介したいと思います。私についてきてください!」

Smiley Filipino !


Taoさんについていくと、そこは、某グローバル企業のコールセンターでした。

 

Taoさん 「このコールセンターには、英日バイリンガルの人材含め、約50人が、世界中からの問い合わせを受けています」

私 「どんな問い合わせなんですか?」

Taoさん 「社内向けのITサービスですね。パスワードが入らないとか、画面が固まったとか・・・。問い合わせのうち、95%は1回目のやりとりで解決することができます」

私 「あの電光掲示板は何ですか?」

Taoさん 「受け付けた問い合わせ件数とその内容、解決までに要した時間が、リアルタイムで掲示されます。品質管理は、“リーンシグマ” の手法を使っています」

私 「す、すごいっすね、それは・・・」

 

“リーンシグマ” というのは、“シックスシグマ” という品質管理を発展させたもので、非常に高度な手法です(詳細は、ネットとかで確認してください・・・)。日本以外の、それも、製造業以外の現場に適用される事例というのは非常に珍しいと思います。言い方を変えると、それほどレベルが高いともいえる、いやはや、フィリピンのコールセンター、おそるべし・・・ です。

 

Taoさん 「管理手法もそうなんですが・・・ みんなの表情を見てやってください」

私 「こ、これは・・・!」

 

みんな、笑顔、笑顔、笑顔! 本当に楽しそうに働いています。思うに・・・、心無い問い合わせもあると思うんですよ、実際のところ・・・。でも、この笑顔! すごい!!

 

Taoさん 「みんな、本当に楽しんでいます。自分の仕事に自信を持っていて、誇らしく感じている。私も、こういう職場で働くことができて、本当にうれしいです!」

 

フィリピンは発展途上国だから、と、醒めて見ることもできます。でも、働くこと自体に、先進国も発展途上国もないのではないでしょうか。うかうかしていると、日本のお家芸である品質でも抜かれてしまいかねません。

 

フィリピンのビジネスパーソンは、「フィリピンで働くことを、誇りに思っている」かつ「現状に満足せず、常にスキルアップに余念がない」ということ。これは、ウカウカしてられません。われわれ日本人も、フィリピンのみなさんと比較する形で、自分の働き方を再度見直してみてはどうでしょうかねぇ・・・、では!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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