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タカシの外資系物語

外資流! リーダーが備えるべき定量的要件とは?(その1)2017.11.21

アフリカ・ジンバブエが大変です!


アフリカ南部のジンバブエが大変なことになっています! ジンバブエを37年間統治してきた世界最高齢(93歳!)の指導者ムガベ大統領が、自国軍に軟禁されました。つまり、クーデターです。隣国である南アフリカ共和国が仲裁に入っていますが、流れからして、早晩ムガベ大統領は失脚し、政権交代が起こると思われます。血を流さない形での、スムーズなプロセスを望むばかりです。
 

ここまで至る経緯において、ムガベ大統領の “状況” を見ていると、典型的な指導者の破たんパターンに陥っていることがわかります。

(1)英雄期 ・・・ 植民地時代、独立運動、ローデシア紛争を経て、ジンバブエがイギリスから独立する際の中心人物となる。独立直後、白人主導を進めたスミス政権に反発し、黒人主導の政権を樹立。初代大統領となる(1979年)
(2)順調期 ・・・ 黒人中心の国家改革を実施。黒人に参政権付与。国内において、強大な支持を得る
(3)転換期 ・・・ 隣国のコンゴ共和国で起こった内戦に派兵(1999年)。白人が所有していた大規模農場を強制収容(没収)し、黒人主導の農園経営を始めるも、白人が持っていた先進技術が失われ、生産性が大きく損なわれる。 結果、国内経済が混乱し、ハイパーインフレが発生
(4)独裁期 ・・・ ムガベ大統領による独裁国家、恐怖政治の開始。国民が貧困にあえぐ中、ムガベ一族はブランド品を買いあさるなど、贅の限りを尽くす
(5)崩壊期 ・・・ 現在、軍によるクーデター発生。ムガベ大統領は軟禁状態となる・・・


(※上記は私が5分程度でネットを調べて、自分なりにまとめた成果ですので、もしかしたら、間違い・認識不足があるかもしれません。あまり深くツッコまないようお願いします・・・)

黒人主導のジンバブエが失ったものとは?!


独裁者のすべてが、初めから独裁者であるわけではない。ムガベ大統領のように、当初は英雄だった独裁者というのは、相当数存在します。われわれ日本の隣国、あの問題国家にしても、そういう要素が見られなくもないわけで。指導者、特に、政治的指導者の評価というのは、どの視点に立つか、によって大きく変わってきます。

 

さて、ムガベ大統領のライフサイクル中、大きなポイントはやはり「(3)転換期」に求められます。ジンバブエの事例で興味深いのは、

 

「農業経営から白人を追い出した結果、白人が持っていた先進技術を失い、生産性が大きく損なわれた」 

 

という部分です。主権を白人国家に委ねることなく、先進国の技術をいかにして取り込むか? これが実現しないと、ジンバブエのような独裁政権となるか、内戦状態となるか、先進国の支配下に戻るか・・・、いずれにしても、望ましい結果になりません。
 

いわゆる南北問題を解決するためには、この課題に対する有効な処方箋を示すことが必要です。例えば、シンガポールはなぜうまく発展したのか? アジアでうまくいくものがアフリカで通用しない理由は何なのか? これらの発展過程の裏付けを、宗教や人種の問題で、定性的・抽象的に片づけてしまうべきではありません。

私見なのですが、私はこの処方箋は、ロジカルに体系づけられるもの、理論化可能なものだと思っています。つまり、学問として研究対象となり、体系化することが可能だということです。最近のノーベル経済学賞を見ていると、行動経済学関連の受賞が目立ちます。が、もっと視線を上げて、国家の発展における理論にスポットライトを当ててもいいのではないか。ノーベル賞の創設者であるアルフレッド・ノーベルの遺志は、まさにそのあたりにあるはずですから、などと、一人つぶやいている次第・・・(実は、ノーベル経済学賞というのは、後から増設されたものなので、アルフレッド・ノーベルにそんな認識があったかどうかは怪しいのですが・・・)

“ガバナンス” を超えて・・・!


ジンバブエ ムガベ大統領の事例は、企業経営においても大いに参考になります。というか、そのまんま該当する事例が、枚挙にいとまがない。起業、スタートアップ時に英雄だったがオーナーやその一族が、ある問題の対処を誤って、独裁者となっていく・・・ 結果、企業そのものが破たんの道をたどる・・・ みなさん、どこかで聞いた話ですよね?

 

最近では、“企業ガバナンス” というテーマで語られることが多い、この話題。もちろん、ガバナンスも、経営者が暴走しないための仕組みが重要なことはわかりますが、それと並行して、指導者(経営者)の資質や育成・選択方法 にも、もっとスポットライトを当てるべきだと思います。

 

「指導者(経営者)も人の子だから、間違いを犯す・・・」それはそうなんでしょうが、どうせダメな奴である可能性が高いから、それをチェックし、排除する仕組みを入れましょう・・・ では、あまりにも寂しい。指導者(経営者)は、どうあるべきか、どうすれば育成可能なのか、を今一度真剣に考えたいところです。抽象的・定性的ではなく、あくまでも具体的・定量的に!

 

ということで、前置きが長くなりましたが、今回から数回にわたって、指導者(経営者)が備えるべき具体的・定量的要件について、外資系社員の観点からまとめてみたいと思います。抽象的でフワフワっとしたリーダーシップ論ではなく、あくまでも定量的に! これがポイント。ご期待ください!!

(次回に続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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