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タカシの外資系物語

外資流! リーダーが備えるべき定量的要件とは?(その2)2017.11.28

白鵬40回目の優勝よりも・・・


(前回の続き)巷にあふれるリーダーシップ論は、抽象的でフワフワっとし過ぎていて、いまいち理解できない・・・って、みなさん、思いませんか?! そこで、従来のリーダーシップ論とは一線を画す、“定量的リーダーシップ論” というものを、考えてみたいと思います。話の本題に入る前に、世間を騒がせている、あの話から始めることにいたしましょう・・・


つい先日、千秋楽を迎えた大相撲九州場所。横綱・白鵬が見事、前人未到の40回目の優勝を達成しました、すごい! パチパチパチ(拍手)!!

 

一方、世間の興味はというと・・・、おそらく、白鵬の偉業よりも、日馬富士の暴力問題の方にあると思います。私個人としては、この問題についての感想は明らかでして、「何があっても、殴って相手にけがをさせた日馬富士が悪い」以上です。ビール瓶で殴ったのなら、もっと悪い。また、たとえ、相手の態度が悪い(𠮟責時にスマホを見ていた等々)だとしても、殴った方が悪い。

 

例えば、自分の部下や後輩が、叱責や指導をしているときに、スマホを見ていたとして、気分はよくないでしょうが、殴りますか? という話です。日馬富士は、自分が手を出したことに対して、相応の償いをしなければならない、それだけの話であって、それ以降は、ワイドショーが面白おかしく脚色しているだけなので、そういうのに乗ってはいけません。

 

1つ気になるのは、被害者である貴ノ岩です。殴られた挙句、故郷のモンゴルからバッシングを受けるような結果になるのは、あまりにもかわいそうです。そこだけは、なんとかしてやってほしいと切に願います。

リーダーは、スタッフを窮地から救う人


この件に関して、私が心を動かされたのは、白鵬の優勝インタビューの際のコメントです。


「・・・この土俵の横で誓います。場所後に真実を話し、膿を出し切って日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてあげたい!」


相撲協会の理事=リーダーのみなさんは、この発言を聞いて、どう感じたでしょうか? 私はこれこそ、リーダーの発言だと思います。


ビジネスの現場においても、何らかのトラブルに巻き込まれ、ドロップアウトしてしまいそうになるスタッフがいます。そういう人たちを、何人現場に戻せるか? これは、リーダーが備えるべき、具体的な要件だと思います。


もちろん、リーダーは、自分の後継者を含め、何人の部下を昇進させたか? というのも重要です。その一方で、辞めそうになっているスタッフを、元に戻す、という観点は、あまり議論にならない。しかし、本当のリーダーというのは、何人ものスタッフを、窮地から救っています。これは、日系・外資問わずだと思います。


それともう1つ、だれかが窮地に陥っている状況で、傍観者よろしく、われ関せずの体である裏側で、あることないことを騒ぎ立てる輩には、絶対になってはいけない。このような行為は、リーダーの器以前の問題であって、人間として恥ずべき行為であることを、リーダーは教えていくべきだと思います。

“見苦しい” のは、どっちか?!


さて、私が大相撲の話を出したのは、実はこの話題ではなくて、違う出来事を引き合いに出したかったのです。あれは、九州場所11日目のこと。優勝した白鵬は、結びの一番で、関脇の嘉風と対戦し、負けてしまいます。


問題は、その負け方と負けた後の態度なんですよね。相撲というのは、行司(土俵内にいる審判)の「ハッケヨイ ノコッタ!」の掛け声とともに両力士がぶつかり合って始まるわけですが、その間合い(タイミング)が合わないことが、時々起こります。その場合、行司か力士のどちらかが、「待った!」と言って、やり直しをすることができるルールになっています。


この日の白鵬―嘉風戦、なんだかタイミングが合ってない感じで始まって、白鵬は「こりゃ “待った” だな・・・」と一人合点して、力を抜いてしまいます。相手の嘉風も “待った” を察して、一瞬、力を抜いた感じになるのですが、行司が「ノコッタ、ノコッタ!」と、対戦の継続を示したので、そのまま一気に、白鵬を土俵外に押し切ってしまいます。で、嘉風の勝ち、大金星です。


問題は、ここから起こります。白鵬が、「いやいや、ちょっと待ってくれ、この対戦は “待った” で、やり直しなんじゃないのか?!」と、行司にクレームするわけです。結局、軍配=勝敗は覆らず、白鵬は負け。白鵬は納得いかないという顔をで、引き上げていきます。で、マスコミはこのやり取りを、以下のように報じます。


白鵬、前代未聞の「待った」 見苦しい61秒棒立ち! (日刊スポーツ)

 

相撲というのはこういうもんだ、横綱なんだから潔く立ち去れ白鵬、往生際が悪いぞ・・・ まぁ、えらい言われようです。冒頭の日馬富士の事件もあって、モンゴル人横綱に対する、ややバイアスのかかったバッシングも、少なからずあったように思います。


一方、私もこの取り組みをテレビで見たのですが、非常に違和感があった。「こりゃ、待っただろ・・・ 止めないと、すぐに止めないと! ああーーっ・・・、止めなかったのね・・・ 白鵬負けちゃった・・・」こんな感じでした。


相撲協会や関係者は、「相撲というのは、こういうもんだ。横綱はどんな状況に置かれても、それを受け入れなければならない」と、何やら悦に入っているようですが、見ていて明らかに違和感があった。そもそも、当事者である白鵬自身が、異を唱えている。だったら、少し検討してみてはどうか、と思うのです。伝統を笠に着て、観客や視聴者の違和感など二の次とばかりに、消化不良で終えてしまう。こんなバカな話はありません。


実は、オリンピックの大舞台でも同じようなことがありました。2000年のシドニー・オリンピック 男子柔道100kg超級の決勝戦において、日本代表の篠原信一選手は、フランスのドゥイエ選手と対戦します。開始1分35秒、ドゥイエ選手が仕掛けた “内股” という技を、篠原選手が “内股すかし”(相手の技を空振りにさせて、クルッと投げる技)で返し、ドゥイエ選手は思いっきり背中から、畳に落ちます。一本勝ちで金メダルを確信した篠原選手はガッツポーズをするわけですが、審判の判定は、ドゥイエ選手の “有効”・・・。で、そのまま試合は進んで、タイムアップで篠原選手は負けてしまいます。


この際も、日本サイドは、強くクレームしなかった。なぜなら、「柔道家たるもの、審判の判定に不服を唱えることは、見苦しいから」です。あれはどう見ても、篠原選手の “一本” です。試合を止めてでも、抗議すべきところ。でも、しなかったんですね。


で、今の柔道はどうなっているか? 篠原-ドゥイエ戦の大誤審を経て、「ジュリー制度」という、ビデオ判定ルールが適用されています。このルールが適用されるに至った経緯は、日本サイドが強く迫ったと言うよりは、篠原-ドゥイエ戦はどう見ても誤審だろ! という声が、特にヨーロッパで巻き起こり、「ま、審判も人間ですから、間違いも犯しますわいな、ガハハ」とばかりに、導入が決まっています。日本だけが、「柔道家たるもの・・・」と、ある意味、奇妙な悦に入って、現実を見ようとしない、変化を拒んでいるわけです。


私はリーダーたるもの、おかしいことにはおかしいと、声を上げるべきだと思っています。そうしなければ、何も良くならない。リーダー自身がおかしいと発言して、リーダー自身が変革をしていく。どれだけの数の “おかしさ” を摘発し、変革できたか? これこそが、リーダーに求められる、具体的・定量的な要件だと思います。


今回はコラムでは、横綱・白鵬のリーダーシップばかり紹介してしまいました。特に、ファンというわけではないのですが、彼のリーダーシップは際立っていると思います。次回は、外資におけるリーダーシップを、私自身の体験の中からお話ししたいと思います。では!

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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