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タカシの外資系物語

外資流! メディア対応の“超絶テク”とは?!(その3)2018.05.08

“話す”より“聞け!”


(前回の続き)各種メディアへの対処方法を学ぶ「メディア・スポークスパーソン トレーニング」にて、記者さんとのインタビューの様子をビデオ撮影し、他の参加者が別室でモニタリングする・・・というセッションに参加したタカシ。タカシのインタビューを見た参加者は、タカシが持つ “あるスキル” に注目したのでした。


私 「ど、どうでした?(汗っ!)」


記者さんとの模擬インタビューを終えてクラスルームに戻ると、他の参加者から、以下のようなコメントを受けました。


講師 「よかったです、特に〇〇が素晴らしかった。〇〇は、記者とのコミュニケーションにおいて、非常に重要なテクニックなんですよ!」

他の参加者 「普通、コンサルって、私も含めてですが、〇〇が不得意なんですよねぇ・・・」

私 「は、はぁ・・・」


なぜ私は「は、はぁ・・・」と、気の抜けた、いまいちな反応をしたのでしょうか? それは、自分が意識していなかったことを褒められたからです。では、私自身が意識していなかった〇〇とは何か? それは

 

傾聴(力)

 

でした。念のため、簡単に解説しておきましょう。


傾聴というのは、コミュニケーション・スキルの1つで、「相手の話を聞く」ということです。ここで重要なのは、ただ “聞く” のではなくて、相手の意図を理解することを目的として “積極的に聞く” ということです。“Active Listening” と言い換えてもいい。相手を理解し、共感する。それによって、会話を噛み合わせていく、ということです。

先回りせず、相手の意図をくみ取る!


講師いわく、「傾聴は、記者とのコミュニケーションにおいて、非常に重要なテクニック」とのこと。これは、「インタビューする記者さんと “Win-Winの関係” を築くこと」と同義です。プレゼンターが言いたいことを一方的に話す・・・、のではなくて、記者さんが聞きたいことを踏まえた上で、言いたいことを調整しながら話していく、これがWin-Winのインタビューです。

 

また、他の参加者が「コンサルって、傾聴が不得意なんですよね」と言っています。私もそう思います。一般に、外資コンサルというのは、よくしゃべります。よく言えば、口が立つ・・・、悪く言えば、うるさいし他人の話を聞かない・・・、まぁ、こんな感じですね。それは1つの個性なので、否定されるものではない。しかし、こと傾聴となると、この個性は邪魔になることが多い。話し過ぎでは、相手の意図をくみ取ることはできないからです。

 

コンサルの同僚たちを見ていると、傾聴を誤解している人が多いように思います。なかなか真意を明らかにしないインタビュアーに業を煮やして、「記者さんの言いたのは、こういうことですか?」と、自分の意図する方向に、無理やり持っていく人がいる。これは、傾聴ではなく誘導です。誘導は一方的なWin であって、Win-Winではありません。

 

もちろん、ときには誘導も必要です。しかし、ベースはあくまでも記者さんの意図=ストーリーであって、プレゼンターのストーリーではありません。だから、記者さんの話を「ふーん」「なるほど」「ですよね!」といった相槌で対応しつつ、「あ、記者さん、困ってるな・・・」ってときに、助け船を出す、これが傾聴ということだと思います。

傾聴とは、1:9で聴くこと にあらず!


よく、傾聴のノウハウ本などには、「とにかく聴く、1:9ぐらいで、相手に話をさせる」というふうに書いてあるものを散見しますが、この割合は、患者に対するカウンセリングなど、特殊な状況でしか成り立たないと思います。そもそも、“話す” というのは、相応にスキルが要求されることですし、疲れるアクションです。それを相手側に90%も強いるというのは、はっきり言って酷だし、思いやりに欠けます。話の主導権を握る役割の人、プレゼン時ならプレゼンター、インタビュー時ならインタビュアーが、対話全体の過半程度は話をすることによって、話をつないでいくことが重要だと思います。

 

話のつなぎ方は、上述のように、「ふーん」「なるほど」「ですよね!」を中心に、「具体的には?」「それって、こういうことですかね?」「ちょっと教えてほしいんですけど・・・」などを使って、相手のストーリー作りの補助をしていく。結果、記事にしてみると、1:9ぐらいの割合で、話を引き出せている、というのが理想です。

 

私自身は、冒頭に述べたように、意識して傾聴をしているわけではありません。結果、そうなっているという方が正しい。まず、コンサルにしては、押しが弱いというのがある・・・(T-T)。あと、理解のスピードが遅いというか、勘が悪いというか、相手の話を聞きこまないと、何が言いたいのか、よくわからんのです・・・(T-T)(T-T)。早合点したくないし・・・(T-T)(T-T)(T-T)。それを取り立てて、傾聴がすごい! と言われるのもどうかな、と思うのですが、これは私の個性なので、大切にしたいと思います。

 

外資系企業において、特に英語の面談を受けると、傾聴の重要性を痛感します。欧米で教育を受けた人は、傾聴がうまい! 私のような、英語ネイティブでない相手から、よくこれだけの英語の発言を引き出せるな、と感心するほど、傾聴して、その結果、話を引き出します。これはおそらく訓練のおかげなのだと思います。欧米では、小学生の段階から、プレゼンやインタビューのスキルを必修科目として学習していますので、社会人になってから傾聴とか言って慌てなくてもいいわけです。

 

さて、ここで問題です。外国人のインタビュアーが、日本人のような英語ネイティブではない人にインタビューする際に、最も困惑することがあります。さて、それは何でしょうか? 次回までの宿題ということで、是非考えておいてください。

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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