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タカシの外資系物語

e-Sportsで2019年をスタートダッシュ!(その1)2019.01.08

e-Sports がオリンピック?!という場合の日本人的感覚


新年あけましておめでとうございます!

 

みなさん、今年もよろしくお願いいたします!!

 

昨年来、米中の“戦争”が過熱しています。昨年12月1日、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長が逮捕されたのを契機に、状況は一気にヒートアップ。世界の株式市場も、これに呼応する形で、乱高下を繰り返しています。

 

この背景にあるのは、米中による次世代技術の覇権争いです。実際問題として、インターネットやスマートフォンの規格/プラットフォームを握った企業=国が、地球上のほぼ全情報を把握することが可能となる時代にあって、当該技術の開発競争というのは、“戦争”と同じ意味を持ちます。「データは21世紀の石油だ!」という指摘は、的を射ていると思います。

 

そんな中、最近、軽~い 目からウロコ 的な話があったので、ご紹介したいと思います。みなさんは、“e-Sports”というのをご存知ですか? e-Sportsというのはエレクトロニック・スポーツの略語でして、簡単にいうと、コンピュータ上で行う対戦型のゲームです。このゲームが、オリンピックの正式種目の採用されるような動きもあり、世界的に大きな注目を集めています。

 

「コンピュータ・ゲームがオリンピックの種目てー、
そりゃナンボなんでも、無理があるやろーー!」

 

と思う人は多い。例えば、国際オリンピック委員会(IOC)委員長のトーマス・バッハ氏は、e-Sportsはオリンピックの価値観と矛盾するため、採用に慎重な姿勢を示しています。大多数のみなさんも、「うん、うん!」と頷いているのではないでしょうか(当初は私もそう思ったので)。しかし! ここでいうトーマス・バッハ氏の考えと、大多数の日本人が抱く感覚は、かなりズレているんです。なぜでしょうか?

明るい オタク とは?!


まず、大多数の日本人が抱く誤解について明らかにしておきましょう。「e-Sportsを五輪に!」と聞いたとき、多くの日本人は、「コンピュータ・ゲームはスポーツではない!」という思いから、違和感を持つはずです。しかし、これは的外れもいいところ。

 

そもそもsportとは何か? ロングマン英英辞典には、以下のように記載されています。

 

a physical activity in which people compete against each other

 

で、グローバル的には、チェスやポーカーなども、sportとして認識されています。よって、コンピュータ・ゲームであるe-Sportsを、スポーツの範疇に含めることには違和感がないわけです。ま、“physical activity”という部分が多少引っかかるかもしれませんが、チェスの駒を動かすのも、ゲームのコントローラを操作するのも、physical activityであることには違いないので、そこは問題ないのでしょう。

 

次に日本人が抱くのは、「コンピュータ・ゲームなんてオタクのやることだから、爽やかなスポーツマンシップの塊であるオリンピックには相容れない」ということではないでしょうか。ふむ、何となくわかるのですが、グローバルの認識は違います。

 

日本でいうオタクは、英語に訳すとGeekとなります。これは、特定の分野に限って異常なほど詳しいマニアックな人のことを指します。元々はプログラマーなどのコンピュータ・オタクを表す表現でしたが、今ではコンピュータに限らず映画やアニメ、スポーツなど基本的にどんな分野においても使われています。加えて、それは当該分野に関する知識のみならず、実践することも含まれます。つまり、運動大好きで、明けても暮れても部活をやっているような学生は、Geekというわけです。ならば、オリンピックに出場するような人物は、その競技における、世界一のGeekといっても過言ではないわけです。

 

ちなみに、英語のGeekには、社交的なイメージを含んでいます。アメリカ映画によく出てくる、ちょっとトボけたオタク、って感じですね。一方、Nerdというのもオタクという意味なのですが、こちらは部屋に引きこもっているイメージでして、日本でオタクという場合には、Nerdの方を指している場合が多いように思います。

スポーツマンシップに反する e-Sports


IOC委員長のトーマス・バッハ氏は、e-Sportsをスポーツとして認めた上で、こう言っています。

 

「e-Sportsはオリンピックの価値観に矛盾しており受け入れることはできません。なぜならば、e-Sportsには“Killer Games”の要素が含まれている場合があるからです」

 

日本人にも、同じ感覚を持っている人は多いと思います。コンピュータ・ゲームが好きになれない人って、画面上で人を撃ったり、殴ったりするようなイメージに嫌悪感を抱く人が多いと思うので(私もそうです)・・・。

 

さて、読者のみなさんの中で、e-Sportsをスポーツとして認めた上で、“Killer Games”について問題視できる人が何人いらっしゃるでしょうか? 大多数の日本人は、IOC委員長のトーマス・バッハ氏が、e-Sportsの五輪採用について慎重論を持ち出した際に、日本人的な、e-Sportsはスポーツじゃないから、オタクだから、という理由で片づけてしまっているように思います。

 

世界を知らない、グローバル的な発想を知らない、というのは、まさにこういうことなのです。物事に関して、何か違和感を持ったとき、その真の意味を探究し、必要に応じて修正できる姿勢と能力。日本人は自分たちの考えに閉じこもり過ぎて、自分から探究するアクションが極端に不足しています。来るべき東京オリンピックに向けて、まずは、マインドをオープンにして探究する姿勢を訓練する必要があるように思います。

 

次回のコラムでは、e-Sportsに関して、想像を絶するような宝の山が眠っており、多くの日本人がそれに気付いていない! というお話をしたいと思います。

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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