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鈴木美加子のグローバル人材塾

言葉にしないと伝わらない! 2017.06.13


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。日本人はYes/Noがはっきりしないので、わかりにくいと言われますが、表情に喜怒哀楽が出ないことや言葉で伝えることが苦手な点も、実は相手を混乱させることについて今日はお話します。

 

まずは私自身の会社員時代のお話をシェアします。

日本人として生まれた私も外資系での経験が25年になり、最後の10年はmatrix reportingで、現地法人と海外に上司が二人いる状態になり、1社を除いて上司の両方が外国人でした。仕事に対して、”Well-done.”  “Excellent”  ”Great” など必ず声をかけてくれましたし、指摘をする必要があるときは、何が問題なのかをわかりやすく説明してくれました。要は自分の業績なり仕事が、どう評価されているか私はわかっていたのです。

 

ところが一度だけ、片方の上司が日本人だったことがあります。声がけがありません。褒められることが無くなり、指摘されることも無くなった状態を不満に思う自分がいて、「あぁ、外国人と仕事をしていてある意味スポイルされたのかも」と思いました。時が経つにつれ、自分の仕事ぶりは上司から見てOKのレベルに達しているのだろうかと不安にさえなり、ついに聞いてみることにしました。答えは、意外。

 

「良くやってくれている」….  真逆の答えが返ってくることを覚悟していた私は、呆気に取られてしまいました。 相手は上司だったので「口に出してくださらないとわからないです」を呑み込みました。長い間、外資系企業にいて外国人の上司・同僚と仕事をしてきた私は、相手がはっきりどう思っているのかを言葉で伝えてくれることに慣れてしまったようです。

 

外国人から見た実例もお伝えします。

私自身がある研修の参加者だった時のことです。講師は、日本人とアメリカ人のお二人でした。学び深く楽しく参加していましたが、アメリカ人の講師の方の説明が少し長くてくどいなぁと思いながら聞いていました。参加者の英語力は平均するとかなり高く、一度言われれば理解出来るのに、3回、表現を変えて言い直されるとさすがにToo muchです。私も他の参加者も、彼女は説明が長いタイプの講師なのだと誤解していたと思います。何が起こっていたのか、想像できますか?

 

彼女は彼女で困っていたのです。私たち日本人参加者の誰一人、Yes, I understand. のサインやオーラを出さないので、英語が理解できないのかと思い言い換えたりして、なるべくシンプルに説明しようとしてくれていたのです。日本人は喜怒哀楽を出さないように育つので、顔の表情が変わらないことが多く、相手からするとわかっているのかわからないのか、どちらなのかが読めないのです。休憩時間にふとした会話から、お互いの誤解に大笑いとなりました。

 

日本人はイライラしているのを我慢しないで、「理解したので先に進みましょう」など、自分/自分達が理解していることを相手に伝えた方が良かったのです。顔の表情をいまさら豊かにするのは難しいので、口で補う必要があったということです。私は実は、”Can we move on?”と一度だけ口を挟みましたが、まさか英語がわかっていないのかもと思われているとは夢にも思いませんでした。

 

彼女の立場に立てば、海外から演奏家が来日する際、日本人聴衆の反応が鈍いので、「今日は自分の調子が良くないのだろうか」と不安になる心理と同じだったのかもしれません。海外の場合、下手だと思えば最後まで我慢しないで退席しますし、素晴らしいと思えば拍手の量や最後にスタンディング・オーベーションになるので、自分のパフォーマンスの出来、評価はすぐにわかります。自分のパフォーマンスがどう評価されているのか、わからないという状況はほとんどないので、反応の鈍さに戸惑うわけです。

 

みなさんの職場に外国人、特に欧米人がいる場合、”Thank you” “Excellent” “Great” などの言葉はシャワーのように使ったほうがうまく行きます。何かを説明してもらって理解できたら、言葉にして「わかったということ」を伝えましょう。わからない時はわからないと伝えて大丈夫です。あ・うんの呼吸という感覚は存在しないので注意してください。

 

この他にも、外国人と仕事をする際どんな言動に気をつけたら良いかを、2時間版のオープンセミナーでお伝えしています。残り2回(6/16 & 6/21)となりました。詳細はこちらです。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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