グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

鈴木美加子のグローバル人材塾

「外資系はすぐにクビになる」の誤解2018.12.04


元・外資系人事部長、10,000人を面接した鈴木美加子です。本日のテーマは、外資系はすぐにクビになるのかどうかです。

 

すべての方に外資系への転職を勧めるわけではありませんが、客観的に外資系の方が向いているようにお見受けする方が、「すぐにクビになるイメージがある」と外資系への転職を踏み出せないでいるのは勿体ないです。実態はどうなのかについてお伝えしたいと思います。

 

「すぐにクビになる」 =「入社して間もなく、理由もないのに雇用を打ち切られる」ことを意味しているのであれば、すぐにクビになることはありません。個人の業績が悪い状態が続いた場合、PIP(Performance Improvement Plan)という、業績改善のためのプログラムに乗ってもらいます。上司と具体的な改善ゴールを設定し、30日後、60日後、90日後に面談します。改善ゴールをクリアできれば何事も起こりません。もし、改善できていないという判断が下された場合は、しかるべきプロセスを経て辞めていただくことにはなります。

もちろん外資では、M&Aである部門の売却・閉鎖のために社員が職を失うことはあり得ます。その場合も、話し合いの場はあり、お辞めいただくにあたって、金銭的な補償はされます。


英語で、Firing on the spot(即時解雇)と言われる、その日、その場で解雇されるケースがないかというと、少数ですが存在するので、ご説明しておきます。ハイリスク・ハイリターンの企業、例えば、一部の証券会社やIT企業では起こり得ることです。呼ばれて会議室に入ったら、今日がラストだと伝えられ、書類一式が用意されていて、呆然とデスクに戻ると、ネットの接続がすでに切られているというスタイルです。非常に厳しい極端な例ですが、彼らの年収は相場より高いので仕事が出来なければ仕方ないという見方もできます。現に、年収を少し落とせば、彼らの次の転職先はあるので、会社を訴える人はいません。ハイリスク・ハイリターンの意味を、わかっているということです。


この終身雇用の保証がないという緊張感が、社員が自分の市場価値を意識して仕事をすることに繋がります。つまり必ずしも悪いことだとは、個人的に思いません。ある時、上場企業の女性管理職研修に参加した時、演習が早く終わったグループのうちの二人が、

 

「私はうちの大黒柱じゃないから、私の給与は保険みたいなものだし、仕事は無難にこなしていればいいと思ってるの」

 

と話しているのを耳にしたことがありました。ショックで雷に打たれたような気持ちでした。外資系企業に勤務している女性は、絶対に口にできない言葉です。「もし会社に何かあってリストラしなければならなくなったら、私、我が家の大黒柱じゃないので、私から切ってくださって大丈夫です」と、自ら宣言しているようなものだからです。終身雇用が保証されていると思い込んでいて、つい口を出た言葉だったのでしょう。

 

一度、外資系企業に入社すると、ほとんどの場合は外資系でキャリアアップ転職をすることになります。(例外は、劇的に変革を起こそうとしている日本企業が、外資系出身者に声をかける場合です。)つまり、自分の「現在」の市場価値を意識して自分を磨いていないと、次回の転職に困るのです。職業人生は長いので、自分の経験値・スキルを上げる努力をし続けることは誰にとっても重要です。今や、日本企業も以前のように終身雇用を保証できる時代ではないので、外資系企業が終身雇用制でないことに過度に敏感にならない方が良いかもしれません。

 

勤め先が日本企業でも外資系企業でも、労働市場での自分の価値を気にしながら仕事をしていく時代が来ています。12月に入り、EXPAT(海外からの駐在員)がクリスマス休暇で帰国する季節です。転職市場も著しくスローダウンする時期なので、少し立ち止まって、客観的なご自分のマーケット・バリューを見直してみてください。
 

アセスメントツールLUMINAを使う個別キャリア相談


アセスメントツールLUMINAを使う個別キャリア相談はこちら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

合わせて読みたい

---