グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

鈴木美加子のグローバル人材塾

キャリアの適性を考える : 外資系企業と日本企業の違い(1)2019.09.03


元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「外資系と日本企業の大きな違い」です。日本企業から外資への転職を考えている方は適性チェックのために、すでに外資にいてストレスを感じているかもしれない方は、その理由がわかる一助となれば、少しスッキリできるかもしれません。


もちろん、すべての差についてお話するのはスペースの都合で難しいので、ここでは大きな違いについてお話します。

1. 文化


外資系企業 – 個人主義

日本企業 – 集団主義  


外資系企業の個人主義は何に最も現れるかというと、JD(Job Description =職務記述書)を超えた仕事を気軽に引き受けないところです。日本人が多いので全くやらないということではありませんが、日本企業に存在する、仕事に穴があかないように全員草野球で球を拾うという精神はないのです。事情でJDを超えた仕事を部下に頼む時は、一方的に指示するのではなくきちんと話すのが基本です。


日常のわかりやすい例を挙げると、ランチタイムは個人の時間なので、気の合う同僚と食べることはあっても、上司と一緒に毎日チームのメンバーで食べるという習慣はありません。これも、外資系の象徴的な個人主義の例です。

2. 経営サイクル


外資系企業 – 短期的視野

日本企業 – 長期的視野


東京商工リサーチがまとめた全国「老舗企業」調査によると、2017年に創業100年以上となる国内企業は3万3069社に達することが分かっています。日本企業が、長期計画に基づき人材を育成しながら経営していくのに対して、外資系の企業は本社の国にもよりますが、日本企業と比較すると短期的視野で経営されています。アメリカに100年を超える企業は何社あるのかサーチしましたが、信憑性があると言い切れるデータに辿り着けないのは、長く続くことが重視されていないことの表れとも言えます。


外資系が短期的視野で経営されていることは、「想定外」「変化」が起こりやすいことに繋がります。急に起きる変化に対処するのは得意でしょうか?

3. 最終決定権


外資系 : 海外本社にある

日本企業 : 日本にある


この指標は重要です。例えば、人事で給与・昇格制度を変更したいとします。本社が決めている大枠の中に収まる変更であれば問題ありませんが、ゼロから日本法人向けの制度を作ることはまずできないです。日本企業の場合は、プランを作成するのは本社がある日本なので、ゼロから作成することができます。


マーケティングのブランディング戦略に携わっているとして、外資系では本社で決められているポリシーに則る必要があり、日本市場へカスタマイズするときには詳しい説明が必要です。ブランド力が高い企業では、そこまでしても日本側の提案が通らない可能性はあります。


外資系で昇進すると、本社と日本法人の間に挟まれることが多くなります。外資に勤めるからには、この「最終決定権は日本法人にない」点は割り切らないとストレスを溜めることが多くなります。

4. 求められるコミュニケーション能力


外資系 : ほどよく主張できる、明確に説明できる、YES/NOが言える力

日本企業 : 周囲と和するコミュニケーション力

 

外資系では主張が強い外国人社員と仕事をすることになります。文化的な背景から90の実力を130に見せる人もいるので、「謙譲の美徳」は存在せず、「能ある鷹は爪を見せる」ことが重要になります。キャリアの個人相談で、非常に謙虚な方には外資系をお勧めしないことも多いです。どちらが良い悪いではなく、企業文化・勤めている人材のタイプが違うからです。

 

日本人が得意な「ハイコンテクスト」のコミュニケーション、つまり行間を読んだり、腹芸をしたり、あ・うんの呼吸は外資系では通じません。相手が空気を読む文化で育っておらず、察するという行為をしてくれないため、口に出した言葉そのままだけが伝わることになります。ロジカルでなかったり、説明が足りていなかったり、曖昧な単語選びをしていると、誤解を招くことになります。


例えば「前向きに検討します」「善処します」「相談します」は、外資系では使われないフレーズです。外国人社員に、検討・善処・相談した結果を必ず聞かれることになるので、そのような明確でない言葉は使わない習慣が身につくからです。


本日は、外資系企業と日本企業の大きな特徴の違いについて、振り返ってみました。日本企業から外資系への転職を考えている方のヒントに、また既に外資系勤務であられる方が、「あぁ、そうだった」と思えたら幸いです。外資系・日本企業のどちらが良い悪いはないですが、どちらが自分に合っているかの指標は存在すると思いますので、考える一助になりますように。


Good Luck!!

『やっぱり外資系!がいい人の 必勝 転職 A to Z』

好評発売中!
鈴木美加子 著『やっぱり外資系!がいい人の 必勝 転職 A to Z

外資系に転職して活躍できる人、向いていない人、その違いとは――。

人事のプロとして25年間に累計1万人を面接・面談した著者だからこそ知り得る、経験と実績にもとづく“成功する"転職ハウツーを明かす。

Amazon販売ページはこちらから

https://www.amazon.co.jp/dp/441323121X/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

合わせて読みたい

---