グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

鈴木美加子のグローバル人材塾

キャリアの適性を考える : 外資系企業と日本企業の違い(2)2019.09.10


元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。先週の「外資系企業と日本企業の違い」が好評だったので、今週はその続編をお届けします。


日本企業から外資系への転職を視野に入れているけれど、適性で迷っておられる方の考える一助になれば、また、外資系にいて悩みを抱えておられる方が、「外資系の良い所」を思い出して客観的に状況を眺められるようになれば幸いです。

1. 育つ人材のタイプ


外資系 – スペシャリスト

日本企業 – ジェネラリスト

 

日本企業は人材育成を長期的視野で行うので、例えば、人事に10年いる優秀な人を経理に異動することもありえます。IT・法務なども経験させ、20年かけて最終的には管理部門の責任者にしようと考えているかもしれません。ご本人に転職をする気持ちがないのであれば、素晴らしいキャリアだと思います。途中で外部に転職をしたくなった場合は、どの分野の専門家でもないジェネラリストなので、転職市場での値は高くはつかないですし、転職自体が少し難しいかもしれません。


外資系企業は、明らかにスペシャリスト志向です。営業でスタートしたら営業のキャリアを極める、経理でスタートしたら経理の道を追求するのが基本です。もちろん、本人がキャリアを変えたくなったら、社内のオープンポジション制度を使って変えることは可能です。大体の会社が同じポジションに2年就いたら、上司に相談せずに社内で公になった求人ポストに応募して良いことになっていて、セールスの人がマーケティングに移ることなどが可能なのです。外部に転職する場合は、専門分野が一つに絞れている人材の方が転職はしやすいです。

2. 変革のスピード


外資系 – 速い

日本企業 – ゆっくり


外資系は、意思決定のプロセスが明確で短いので、決断も速く、それに伴う行動も速いです。25年間の外資系生活の中でも驚愕のスピードだった、アメリカ本社のプロジェクトのお話をします。当時、IT企業はインドのバンガローにエンジニアを多数抱えていましたが、インドの人件費が高騰し続けることを問題視していました。優秀なエンジニアが採用できて、人件費がもっと低い国はないかを世界中でリサーチしたのです。ヨーロッパにアルメニアという国があり、人件費はインドの1/10、工学博士が多いとわかり拠点を移すことに決めました。バンガローのエンジニアを2/3解雇し、アルメニアにオフィスを作る全ての工程を8か月でやってのけました。このスピードには、さすがシリコンバレーと感じざるを得なかったのです。


日本企業は、意思決定のプロセスに、「根回し」が存在し、それにかなりの時間がかかります。 根回しが完了した時にはプロジェクトが素早く立ち上がり、素晴らしいスピードで進むことができますが、トータルで見た時に、変化するためにかかる時間は外資より長いです。もちろん日本企業でも、立ち上げのベンチャー企業は速いスピードで経営されているはずなので、ここでの話はあくまで一般論です。

・これからの長いキャリアをジェネラリストとして過ごしたいですか?
・それともスペシャリストの方が自分に合っていると思いますか?
・変化に対応する力はある方でしょうか?
・それとも、どちらかというと安定して自分が置かれた環境や仕事のプロセスが変化しないことを望むタイプでしょうか?

 上記の答えが、「スペシャリスト志向」×「変化対応力あり」と、すんなり答えられたら外資系向き人材と言えます。先週のコラムと合わせて、じっくり適性を考えてください。外資系企業・日本企業、どちらが良い悪いはありませんが、どちらが自分に向いているかは必ず存在するので、見誤ったり他人と比較したりすることがないように願っています。

 

Good Luck!!

『やっぱり外資系!がいい人の 必勝 転職 A to Z』

好評発売中!
鈴木美加子 著『やっぱり外資系!がいい人の 必勝 転職 A to Z

外資系に転職して活躍できる人、向いていない人、その違いとは――。

人事のプロとして25年間に累計1万人を面接・面談した著者だからこそ知り得る、経験と実績にもとづく“成功する"転職ハウツーを明かす。

Amazon販売ページはこちらから

https://www.amazon.co.jp/dp/441323121X/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

合わせて読みたい

---