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鈴木美加子のグローバル人材塾

休暇に対する姿勢にも現れる多様性2020.01.07

元・外資系人事部長、10,000人以上を面接したグローバルキャリアカウンセラーの鈴木美加子です。このコラムの執筆も、7年めに入ろうとしています。お正月明けですので、連休に対する考え方の違いをテーマにします。

お正月休みはゆっくりできましたでしょうか。
今回の年末年始は、9連休になった方が多かったかもしれません。初日は比較的スローなオフィスも多いですが、海外とやりとりする人達は残念ながら例外です。昔、ちょうど今回と同じように1月6日が初出勤日であった時、定例のアジアパシフィックの電話会議に参加する必要がありました。私だけがお正月明けでぼーっとしていて本当に困りました。欧米の一大イベントはクリスマスで、とっくに終わっています。中華圏の一大行事は旧正月で、まだ先です。1月2日からフルスピードでいつもと同じように仕事をしている海外の同僚たちに混じって、私はといえば、英語を聴くのさえ億劫な状態であることを隠すのに必死でした(笑)。


グローバルに仕事をする時、海外の大型連休を押さえておくことは重要です。今年の旧正月は1月24日から1月30日です。1月半ば以降、中華圏に出張しても先方はお休みを前に、モチベーションが下がっていると思われます。どうしても提出してもらわなければいけない書類や、完了させなければいけない工程がある場合は、そもそもの締め切りを大きく前倒しにしたり、さりげないリマインダーをいつもよりこまめに出したりなどの工夫をしないと、仕事が終わらないまま休暇に入られてしまう可能性があります。


ある時、出張先のNYで明日からLong Weekend(3連休)という金曜日を迎えたことがあります。同僚が「明日から連休だから、早く帰らなきゃ」と、16時ごろ帰っていくことに驚きました。日本なら、「明日から連休だから、あれを終わらせて、これも何とかしないと帰れない」になるところです。


時が流れ、シリコンバレーに本社がある企業の人事責任者として、本社で開催されたグローバル会議に参加しました。明日からLong Weekend(3連休)という金曜日、本社の同僚たちは「明日から連休だから早く帰らなくちゃ」と、ランチを食べると早々に帰り始めたのです。アメリカの東海岸より西海岸の方がLaid back(のんびりしている)とはよく言われることですが、まさしくその通りでした。


グローバル会議の参加者には、インドと中国の人事責任者がいました。当時インドと中国では、熾烈なIT人材獲得戦争が起こっており、人材を引き抜かれないように、1年に2回昇給を行っていたのです。当然、関わっている人事の人間は超多忙です。私たち3人は思わず目を見合わせてしまいました。誰も口にはしませんでしたが、「3連休だから早く帰るってどういうロジック?」とまるで理解できなかったのです。


さらにオーストラリアに住んでいたときのこと。明日から3連休と言う金曜日を、かなり多くの企業が自主的に休みにすると知り非常に驚きました。上には上がありますね。仕事を最優先させるのではなく人生の質(QOL)を大事にする姿勢に感心しました。日本の経済が右肩上がりだった時期は過ぎ、がむしゃらに働いてもそれに見合う収入アップ・昇進を期待できない時代に入りました。世界で唯一「過労死」と言う言葉が存在する状態から早く脱却して、人生の質を豊かにする事を考えるべきだと強く思います。個人の生産性を上げ、浮いた時間を自己投資として勉強や人脈を築くことに割いて欲しいです。


日本の企業・外資系企業には、それぞれ良いところと、そうでないところがありますが、残業時間に関しては、外資系企業に軍配が上がります。長時間働いたと言うプロセスではなく、成果と言う結果を評価する企業文化だからです。


2020年、皆さんが個として輝ける年になりますように。今年も、外資系への転職やグローバル人材になるためのコツを発信して参ります。どうぞよろしくお願いします。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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