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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資系で上司が持つ生殺与奪権2020.03.03


元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。本日のテーマは、“直属の上司との人間関係に気をつける”です。


外資系企業はドライな企業文化と思われがちで、上司も本人もいずれ転職する可能性もありますし、現上司との人間関係をそんなに重要視しないこともあります。これは真実でもあり、真実ではないです。


どういうことでしょうか? 外資系において、上司は生殺与奪権を持っています。あなたを上に引っ張り上げてくれるのも、サポートしないことが出来るのも直属の上司なのです。人間関係をおろそかにする事はできません。もちろんゴマをすればいいと言う意味ではありません。外資系は成果主義なので、仕事ができない人はいずれ淘汰されます。仕事ができない部下を上司がかばうのには限界があるからです。


上司の生殺与奪権の象徴的な具体例を挙げてみます。


日本GEに勤めていた時、自分の部下達を偉くさせることで有名な、人徳に優れた事業部長がいました。誰からも慕われ尊敬されていた人です。彼が60歳の定年間近になった時、直属の部下が「もう自分に対して何もできないだろう」と思ったのか、大きなパーティーで上司に恥をかかせることをしました。いわゆる日本語で言うメンツを潰すことをしたのです。


老いたライオンは激怒し、直属の部下のVice President(VP)への大きな昇進を握りつぶしました。VPへの昇進は一度成立しないと再び実現することはなく、人としての礼節を欠いた部下はVPに昇進することはありませんでした。上司の力がいかに大きいかを示しています。


2番目は私の例です。あるIT企業にいた時、1年に1回即日解雇をすることを憂慮し、日本の労働基準法を根気よく説明し、日本をリストから外してくれるように根気よく2年かけて頼みました。労働市場での会社の評判が悪くなると、採用に悪影響が出るからです。アメリカではその分野でNo.1の会社でも、日本での知名度は今ひとつだったので、市場での評判は重要だと判断したのです。私の意志は通りましたが、困ったことになりました。


私としては、会社のために良かれとしてしたことですが、このことを機に、私は本社の上司から「言うことを聞かない奴だ」と思われるようになり、上司との関係が悪くなっていったのです。直観力を持ち合わせているので「これはまずいかもしれない」と感じた私は転職活動を始めました。転職を決め私が辞表を出した時、彼は驚きませんでしたし、むしろ安堵したかのようでした。


そう言えば、私がマネジャーとして違う会社に勤めていた時、私の上司は本社のグローバル人事責任者と仲良くしていました。ある日、出張で来日した彼が、私の上司の頼みで非常にかさばる重いものをスーツケースでアメリカから運んできたと知り、「ここまで仲が良いのか」と驚いたことがあります。日系企業で、あのクラスの上司に、現地法人の部下が頼みごとをできるとも思えませんし、頼まれたとしてもやらないのではと思います。私の上司は一度、苦境に立ったことがあるのですが、直属の上司が救ってくれました。人間関係も多少影響したのではと思っています。


外資系で直属の上司は、かなり大きな人事権をあなたに対して持っています。媚びる必要はありませんが、上司とは適度に良い人間関係を保つことが、外資系で出世するために重要であることを覚えていてください。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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