グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

鈴木美加子のグローバル人材塾

外資系企業と日本企業 - 意思決定方法の違い2020.07.28


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、外資系企業と日本企業で意思決定がどのようにされるのか、その違いについてです。

外資系企業の意思決定方法


外資系企業の意思決定方法は、トップダウンです。部下の意見を全く聞かないわけではありませんが、基本的に上位の職にいる人間が、方向性を決め、やるべきことを決定し、下位の職位にいる部下に実行を求めます。前提は、外資系では専門性が問われるため、上司は経験・スキルにおいて部下より必ず勝っていることです。人格の良さだけやリーダーシップだけで正しい判断が行えるわけはないというのも、根底にある考え方です。

意思決定が1人もしくは直属の部下など少人数で行われるので、決定にかかる時間が短く、早く実行に取りかかれるのが長所です。短所は、長が周囲の意見を全く聞かない場合、ワンマンな運営になる可能性があることです。 

リーダーシップにも時代の流行りがあり、ぐいぐい牽引するリーダーシップがもてはやされた時代は、一方的なトップダウンで上司から部下に伝達がされると言う意思決定も多くありました。しかし、エンパワメントという言葉に象徴されるように、周囲を巻き込み勇気づけ、人が本来持っている素晴らしい力を引き出すことに長けたリーダーに脚光が浴びるようになり、欧米系の外資でも周囲の意見を聞くということがより行われるようになりました。 

日本企業の意思決定方法


一方、日本企業の意思決定方法は、ボトムアップです。日本企業では会社の都合で社内異動が起こり、経営陣が必ずしもその部署の専門家でないことが多いので、実際の現場や仕事の内容がわかっておらず、意思決定がしにくい、もしくは1人で意思決定するのは非常に危険という現実があります。正しい判断をするには現場を理解している部下達の意見が鍵を握ることになります。

ホフステードの異文化6次元モデルで、日本の「権力格差 (社会の中に権力が不平等に分布している状態を受け入れる程度)」スコアは1-100のモノサシで54です。もっとスコアが高いように感じるかもしれませんが、このスコアを立証するのがボトムアップの意思決定です。上から一方的に指示されるわけではないのが肝心な点です。 

ある会社にセールス訪問した時のことです。人事担当の執行役員にお目にかかることができました。5分ぐらいお話した後で、「この方、研修分野はあまりお得意では無いかもしれない」と思いました。それから10分ぐらいして、「この方そもそも人事のバックグラウンドをお持ちなのだろうか?」と疑問に感じました。人事のことをあまり良くご存じないようにお見受けしたからです。 

打ち合わせの最後にお互いに打ち解け、先方が「実は先月異動になったばかりで、その前はカスタマーサポートの責任者だったんです」と打ち明けてくださいました。なるほどと腑に落ちると同時に、外資出身の私は卒倒するほど驚きました。人事の経験がない方が人事部門のトップに就かれて、部下達がよくついていくなとも大変失礼ながら思ってしまいました。

外資系企業と日本企業の違い


外資ではポジションが上の者は、スキル・経験値が部下より高くて当たり前なので、その部署での実務経験が全くない方が、部署のトップに就任する事は100%近くありません。またもし就任したとしても、半年以内に部下達に追い出されてしまうこともあります。知識・スキル・経験が無い人材は、部下の尊敬を得ることができない企業文化です。 

日本企業に慣れた方が、外資系に転職をすると戸惑う事が多いと思いますが、その1つがこの意思決定方法の違いです。どちらが良い悪いではなく、企業文化が違うのでやり方が異なります。まずはどういう企業文化なのか、どういうタイプの上司なのかを注意深く観察して、上司に意見したい時はタイミングと話し方をよく見極めることをお勧めします。どこに行っても気さくで周囲からの意見を歓迎してくれる上司が必ずおられる一方で、ワンマンタイプで助言を良しとしない方もおられるのが現実です。

外資系でキャリアアップしたい方は専門性を高めることが何よりの早道です。ジェネラリストは外資系で昇進するのが難しいですし、転職活動をする際に労働市場で高い値がつきません。「あなたはどの分野の専門家ですか?」と聞かれて即答できますか? もし即答できなければ、そのためのキャリアを築く努力をしてください。
応援しています!

オンラインサロン『鈴木美加子のグローバル人材塾』

オンラインサロン『鈴木美加子のグローバル人材塾』


多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できて外国人と協働できるグローバル人材の集いです。楽しく学びながら、コミュニティの中で継続的に成長することができます。
コンテンツの概要は以下の通りです。

  • ・週1の記事・動画配信
  • ・週1のライブ配信
  • ・キャリアのお悩み相談
  • ・外部ゲストの講演会
  • ・月1の懇親会
  • ・個別キャリア相談を割安で受けられる

 

初月は無料なので、お気軽に覗いてみてください。詳しくはこちら↓

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

合わせて読みたい

---