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有元美津世のGet Global!

海外で揉まれよう2019.02.26

 

 アジア杯で、対ウズベキスタン戦でゴールを決めた塩谷選手は、2年前からUAEのクラブでプレイしており、今回は地の利もあったと言われています。

 塩谷選手は、昔、本田選手に「海外に行くチャンスがあるなら、行った方がいい」と言われたそうですが、実際に、自分が海外に出てみて、その言葉の意味がわかったとか。「日本にいた時は自分にとってやりやすい環境(comfort zone)にずっといた。こっちではいろいろ大変なこともあったけど、それは全て自分の力になっている」ということで、精神的に強くなったと実感しているそうです。

やられたら、やり返す、言い返す


 2年前にオランダのクラブに移籍した若手ホープの堂安選手も、海外への適応には自信があったものの、当初は苦労したそうです。

 外国人・アジア人いうことで見下され、パスも出てこなかったり、ミスしたら自分だけが怒られたりしたとのことです。チームメートに積極的に話しかけたりもしたものの、なかなか溶け込めなかったそうですが、そうした状況は、海外に在住したことがある人なら誰もが経験していると思います。

 堂安選手の場合、そうした状況が変わるきっかけが練習中にありました。練習は、タックルされたらやり返したり、言い返したりと、毎回、まるでケンカのような感じだそうですが、攻撃の際にチームメートに激しくタックルされたとき、自分も、そのチームメートに詰め寄って、学んだばかりの英語で猛抗議してみたそうです。すると、その後、監督を含め周囲の見る目が変わったとのこと。

 代表チームキャプテンの吉田選手も、オランダのクラブでプレイした際に、「やられたら、やり返す。怒鳴られたら、怒鳴り返す。そうやって、こいつにはかなわないと思わせる」という”名言”を残したそうですが、これはスポーツの世界に限ったことではありません。留学や駐在などで、学校や職場で現地の人や他国の人とやりとりする時も同じです。不当な扱いを受けながら、日本式に「波風を立てたくない」と何も言わないでいると、踏みつけられたまま、対等な相手として見てもらえません。(アメリカで踏みつけられ放しの日本人を何人も見てきました。)

海外で揉まれて成長する

 今回のアジア杯で日本代表として招集されたメンバーは海外のクラブでプレイしている選手がほとんどで、国内組は非常に少なかったのですが、国内組の選手は”大人しく”、この辺の気概が欠けているように見えました。

 監督に期待されていたにもかかわらず、「周りに気を使いすぎ」「遠慮しすぎ」「周りに生かしてもらえていない」といった批判を受けた選手がいました。海外では、「黙っていても、周りは見ていてくれる、わかる人にはわかる」というのは通じません。「自分が生かしてもらえていない」と思えば、それを自分からアピールしないといけないのです。黙っていても、誰かが手を差し伸べてはくれません。

 たとえば、留学して「留学生だし、外国人だし、不慣れな土地で誰かが優しく手を差し伸べてくれる」と思ったら大間違い! 友達を作るにしても、自分から積極的に行動しないと、友達もできません。「自分は、こうしたい」「自分は、こう思っている」というのを、たとえブロークンの外国語でも、主張しなければならないのです。

 アジア杯で、海外でプレイしたことのない選手の軟弱さを見て、業界にかかわらず、「若いうちに海外に出て揉まれた方がいい」と痛感しました。皆さんも、ぜひ揉まれて、たくましく成長してください。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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