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有元美津世のGet Global!

外資・グローバル転職で役立つ英語表現(50)-- Microaggression:Japanese Only2024.04.16

 

日本国内の一部の飲食店で使われている英語表現に”Japanese Only”がありますが、これも、microaggressionと言えます。

この”Japanese Only”という表示(sign)、訪日観光客の間で、しばしば話題になるのです。「日本人以外は入店お断り。差別!」と憤慨している観光客も少なくありません。

その度に、オンラインコミュニティでは、他の観光客や日本に長年住んでいる外国人から「自分は見たことないけど、それは”日本語オンリー””当店では日本語しか話しません”という意味」と擁護の声が上がります。「Japanese Onlyというと”日本人のみ”という意味になりますよ」と言われて、慌てて書き直したという店もあるそうです。つまり、「日本語のみ対応可」という意味で使っている店があるということです。

それを明確にするために、下記のような表示をしているレストランが、京都や金沢にはあるそうです。

1) Japanese Only. We can’t speak English.(日本語のみ。英語は話せません。)
2) Please Speak Only Japanese in Our Restaurant(当店では日本語のみ話してください。)

2)には噴き出してしまいますが、「当店では日本語しか話せません」ということを言いたいのでしょう。また、新宿には、下記のような表示をしたレストランもあるそうです。

We don’t have English-speaking staff or English menus, so unfortunately we can only cater to Japanese people.(当店では英語を話すスタッフはいませんし、英語のメニューもありませんので、残念ながら日本人にしか対応できません。)

ということは、「日本語を話せても日本人以外は入店を拒否されるのか?」ということになります。日本語さえ話せれば、どこの国の人でもいいのであれば、下記であるべきでしょう。

We can only cater to Japanese speakers. (日本語話者にのみ対応できます。)

 

「日本語のみ対応」

 

ただし、「日本語以外に対応できない」と言うのは、下記のような表現の方が差別的ではありません。

Only Japanese is spoken here.(当店では日本語のみ話します)

No English is spoken here.(当店では英語は話しません)

「英語話者、外国のお客さま歓迎」と言いたいのであれば、下記のような表示をするといいでしょう。*

English is spoken here.

しかし、昨今では、Google Lensなどでメニューを写して翻訳が可能なので、言葉ができなくても、たいていの場合、注文はできます。私は、中央アジアベトナムなど英語の通じない国では、そうやって注文します。注文数(数字)くらいは、現地語で言えますし、ジェスチャーでも通じます。

日本では、最近、英語のメニューを置く飲食店も増えていますし、券売機に英中韓に対応したQRコードを設置しているラーメン店もあります。ワンオペの小さな店であれば、日本語の話せないお客にかまっていられないというのは理解できますが、対応しようと思えば、やり方はあるということです。

 

Xenophobic

 

一方、「日本人以外お断り」という意味で”Japanese Only”を使っている店もあります。先月、沖縄での下記のような表示がフェイスブックに投稿され、他のSNSにも拡散されていました。

Sorry, Japanese customer(s) only.

丁寧に(?)「日本人以外お断り」という日本語も付け加えられています。

また、下記のような張り紙をした大阪市内の店がオンラインコミュニティで話題になっていました。 「団体OK、たばこOK、一人での入店不可、家族連れ入店不可、Japanese Only!!」

英文の後の”!!”は、一体どういう意味なのか... こんなにターゲット層を限定している店があるのか、と笑ってしまうレベルですが、地元民によると「前を通ると、いつも満席」だそうです。

新宿の飲み屋街には、以前、”No foreigners”という表示が多かったそうですが、今では”Members only”に変わっているようです(一種のポリコレ?)

しかし、「日本人以外入店お断り」というのは、何によって「日本人」というのを判断するのでしょうか。日本語が話せればいいのであれば、日本人でなくてもいいはずですが、パスポートなどの身分証明書で確認するのか、見かけで判断するのであれば、”従来の日本人”に見えない人は国籍が日本でも拒否されるのか...

いずれにせよ、排他的であり、「日本人はxenophobic」と言われても仕方がないと感じます。

 

✖のジェスチャー

 

訪日観光客には、「店に入ろうとしたら、腕でXのサインをされた。どういう意味?」と聞いている人もいるように、これは海外では意味不明のジェスチャーです。”No”の意味では、クビを横に振った方が通じやすいでしょう。

なお、 飲食店のレビューでも「席は空いているのに入店を断られた。外国人差別!」といった外国語による書き込みを見ることもよくあります。その並びに「おいしかった」という外国語による投稿もあったりするので、予約で満席だったのか、何らかの誤解があったことが考えられます。しかし、説明なしで”No”だけ言われれば、いい気はしないですね。



* アメリカのヒスパニック系の多い地域では、「当店ではスペイン語を話すスタッフがいます」(つまりスペイン語話者のお客さま歓迎)という意味で、"Se habla Español"(="Spanish is spoken" "We speak Spanish")という表示を見かけることが多い。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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