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有元美津世のGet Global!

外資・グローバル転職で役立つ英語表現(2) - Great Resignation2021.11.30


 日頃から英語メディアに触れている人なら聞いたことがあるはずの”Great Resignation”。日本語では「大退職時代」「大辞職時代」などと訳されています。英語では、ちょっと俗語的な”Big Quit”という表現も使われます。
 アメリカでは、今年、離職者が急増しており、8月に400万人以上、その後も月400万人前後で高止まっています。さらに、2020年、コロナを機に、退職世代のベビーブーム世代が3000万人近く早期退職しました。(失業して再就職しないことを決めた人も含まれます。)
 とくに飲食業界は、対面接客や低賃金を嫌って、労働者が戻って来ず、空前の人材不足に見舞われています。人手が足りないために営業時間を短縮したり、営業日を増やしたりという店も珍しくなく、高校生の息子に学校を休ませて店を手伝わせなければならない店主までいます。店内に「少人数で回しているので時間がかかります」という張り紙がしてあり、料理が出てくるまで、すごく待たされるという経験を私も実際にしています。
 建設業界や輸送業界でも人手が不足しており、一見、サービス業やブルーカラー職の人たちが大量に辞職しているようにも見えるのですが、実際にはホワイトカラー職も大量に辞職しているのです。HBS(Harvard Business School)の調査によると、一番辞職が増えているのが、30~45歳のミッドキャリアで、2020年に比べ2021年は平均20%以上増えているとのことです。通常、離職が多いのは若い世代なのですが、20~25歳では、2019年に比べ辞職率は減っています。

コロナの影響


 今、ミッドキャリアの辞職(転職)が増えている理由として、下記が挙げられています。

  1. リモートワークが増えたため、企業の方が、未経験者よりも経験のあるミッドキャリアの雇用を好んだ。
  2. コロナ下で先が見えない中、転職希望者がコロナ収束の目途がつくまで転職を遅らせた。
  3. コロナ、企業の雇用停滞、ワークライフバランスの見つめ直しなどいろいろ重なってプレッシャーとなり、「これ以上、仕事を続けられない」と思った。

 また、どの業界でも、辞職が増えているわけではなく、医療業界とIT業界では前年比で増えたものの、製造業や金融業では減っています。

 “Great Resignation”という言葉を生み出したのは、組織心理学者(organizational psychologist)の大学教授なのですが、「人間というのは死や病気に面した際、実存的な(existential)問いをするもの」なのだそうです。(死にかけたり、大病をしたりすると人生観や価値観が変わるとよく言いますね。)「自分の人生の目的は何なのか?」「自分を幸せにしてくれるものは何なのか?」「それに比べて、今の自分の生活は、どうなのか?」といったことです。コロナ禍で、人々が、こうした自問をし、「仕事に求めるもの」が変わった結果、辞職、転職が増えているというわけです。
 そして、転職するにあたり優先するのは、給料よりも「柔軟な働き方」「リモートワーク」という人が増えています。

Resignation


 さて、英語についてですが、”resignation”とは「辞職、辞任」という意味で、動詞は”resign”(辞職・辞任する)です。

I turned in my resignation yesterday.
(昨日、辞表を提出した。)

My resignation has been accepted.
(辞表は受け入れられた。)

The Tokyo Assembly member resigned from her position last week.
(その都議は、先週、辞任した。)

I’d like to resign from my job. 
(仕事を辞職したい。)

 “Resign”を使うとフォーマルで、日常会話では”I want to quit my job”といったカジュアルな表現の方が一般的です。(日本語でも「辞める」より「辞職」の方がフォーマルであるようなもの。)

The Great Resignation will continue into 2022.
(大退職時代は、2022年も続くだろう。)

Will the Great Resignation hit Japan?
(大退職時代は、日本にも来るのだろうか?)

 日本で9月に20~40代の転職経験者を対象に行われたアンケート調査では、アフターコロナで転職する場合、回答者の8割以上が「安定していて長く働ける企業に転職したい」ということなので、私は下記のように思います。

The Big Quit” won’t hit Japan.
(大辞職時代は、日本には来ない。)

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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