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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(37)-- Conformist/Conform2023.04.18

 

  3月末に内閣府がひきこもりに関する調査結果を発表しましたが、全国で推計146万人(15~64歳)の人がひきこもり状態にあるということです。

  これは、海外メディアでも報道されました。(各社、AP通信の記事を配信しただけだが。ちなみに、日本に関する英文記事を書いている記者の大半は日本人。) 15年ほど前に日本で生まれた「ひきこもり」という言葉は、英語でも”hikikomori”として使われています。


Hikikomori is a Japanese term coined to describe extreme/prolonged social withdrawal.
(ひきこもりとは、極端な/長期化した社会的隠遁を表す日本語の造語だ。)


Nearly 1.5 million working-age people in Japan are social recluses or modern-day hermits.
(日本では、就労年齢人口の150万人近くが、社会的ひきこもり、現代の世捨て人状態にある。)


  ひきこもりは、当初、日本特有の現象だと思われていましたが、その後、各国でも調査研究が行われ、欧米や中東でも、その例が報告されています。(※1)

  つい先週も、ひきこもりの若者に社会復帰を促すために、韓国政府が月5万円ほど支給することを決定したことが世界的にニュースになっていました。首都ソウルでは、19~39歳の青年の13万人ほど(4.5%)が孤立・ひきこもり状態にあるということです。(※2)

  イタリアでも、15~24歳の若者10万人以上がひきこもりで、相互扶助の家族会やフェイスブックグループもできています。ひきこもりが多い国に共通しているのは、「成人の間で親との同居率が高い」点だという説もあります。ひきこもりできるのは、ひきこもっても生きていくことを可能にしている人(enabler)がいるからで、親がひきこまらせてくれない国では、そうした人はホームレスになる可能性が高く、「ひきこもり問題」ではなく「ホームレス問題」として生じているとも言えます。

 

Conformist

 

  上記の内閣府の調査結果を報じた英文記事には、下記のような文がありました。


Reasons for retreating from the country's notoriously conformist and work-focused society…
(日本の悪評高い遵奉的で仕事中心の社会からひきこもる理由は...)


  上述のように、ひきこもりは他の国にも存在し、社会がconformistだからというのが必ずしも原因ではないのですが、ここでは、それはちょっと置いておいて、”conformist”について触れたいと思います。

  「社会の規範を重視し、それに従って行動する人」のことを英語では”conformist”と言います。

  日本(のメディア?)では、やたらと「同調圧力(peer pressure)」のせいにして(peer pressureがあるのは日本だけではない)、「自分は社会の犠牲者」みたいな感じで語る人が多いですが、日本では「ルールを守ること」を重んじる傾向があり、”conformist”が多いから、そういう社会になっているのではないでしょうか。


  さて、”conformist”の定義を見てみると、

- a person who behaves in accordance with prevailing standards or customs and typically dislikes or avoids unconventional behavior
(広くいきわたる基準や習慣などに従って行動し、型破りな行動を嫌ったり、避けたりする人)

- a person who uncritically or habitually conforms to the customs, rules, or styles of a group
(無批判に、またはむやみにグループの習慣やルール、形式に従う人)
conform to… ~に従う

- a person who conforms, especially unquestioningly, to the usual practices or standards of a group or society
(グループや社会の通例の慣習や基準に、とくに妄信的に従う人)


  上記の「無批判に(uncritically)」「むやみに(habitually)」「妄信的に(unquestioningly)」という点が、鍵だと思います。同調圧力というより、「何も考えずに周りと同じことをしておけば楽」ということなのではないでしょうか。


People often choose to conform to society rather than to pursue personal desires because it is often easier to follow the path others have already charted, rather than forging a new one.
(人は、往々にして自分の願望を追求するよりも社会に従うことを選ぶ傾向がある。自分で新たな道を切り開くよりも、他人がすでに通った道を進む方が楽だからだ。)


  3月13日からマスク着用が任意になったにもかかわらず、大半の人がマスクを着用し続けるのも、これに起因していると思います。「任意(optional)」「自分で決める」というのが苦手、という人が多いのではないでしょうか。(※3)

  さて、”conformist”については、次回も続きます。

(※1) 実は、30年以上前にアメリカで知り合った、当時30代の男性がひきこもりだった。当時、日本でも、まだ「ひきこもり」という概念も言葉も存在せず、「変人」「30歳を過ぎて、親に食べさせてもらって、いいご身分だ」と思っていた。

(※2) 直近1カ月以内に求職活動がない青年で孤立状態が半年以上続く場合を「孤立」、外出をほとんどせずに家だけで生活する状態が半年以上続く場合を「ひきこもり」。

(※3) まだ職場で着用を義務付けているところもあるようなので、社内では着用を続けるというのはわかるが、昨年から政府は屋外では着用不要と言っている。また、高齢者や基礎疾患のある人が「コロナが怖い」と言うのもわかるが、若い人たちが顔を見られたくないという理由でマスクを着用し続けるのは「マスク依存症」という声もあがっており、新たな社会問題化?

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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