グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

有元美津世のGet Global!

外資・グローバル転職で役立つ英語表現(44)-- Nonbinary2023.06.27

 

  過去2回、”nonbinary”という意味で「Xジェンダー」を使いましたが、厳密に言うと「Xジェンダー」と「ノンバイナリー」は違い、日本語でも「ノンバイナリー」を使う人はいます。

  ”Nonbinary”とは、「男性」「女性」という”binary”(二つの選択肢)の定義には当てはまらないという意味です。元々、”binary”とは、「二つのものからなる」、数学では「二進法(0と1で数字を表す)」という意味です。コンピューター用語として、「バイナリーファイル」「バイナリーデータ」(0、1の二進数で表現されるデータ)などは日本語でも使われています。

  そこで、”nonbinary”とは「二つに限定されない、二者択一ではない」という意味で、転じて「完全に男性、完全に女性」とは言えない性という意味で使われるようになりました。

  なお、「Xジェンダー」は、ネパールを含み一部の国で性別(Sex)の項でM(男)F(女)のどちらでもない人向けに「X」が使われていることから、日本で使われるようになった和製英語です。(※1)


Nonbinary refers to individuals whose gender identity lies outside the binary gender categories of man and woman.
(ノンバイナリーとは、男性、女性というバイナリーのジェンダー枠にあてはまらないジェンダーアイデンティティをもつ個人のことを指す。)


I’m nonbinary. I don’t identify as female or male.
(私はノンバイナリで、自分を女とも男とも認識していない。)


She identifies as nonbinary and prefers to be called by the pronouns they and them.
(彼女はノンバイナリーで、代名詞はthey、themで呼ばれたがっている。)


  ノンバイナリーは、“gender spectrum”(ジェンダースペクトラム)のグラデーションのどこかにいるということで、たとえば「自分は男性7割、女性3割」という感覚の人もいます。なお、ノンバイナリーは”intersex”(男女の定義にあてはまらない生殖構造を持って生まれた人)とは違います。


Five years ago I started taking testosterone and now identify as a masculine-of-center nonbinary person.
(私は、5年前に男性ホルモン治療を始め、今では男性寄りのノンバイナリーと自認している。)

 

Sex vs Gender

 

  「ジェンダーって日本語でもよく使われるけど、そもそもgenderって、sexとはどう違うの?」という人もいるでしょう。日本語では、どちらも「性別」になるので、違いがわかりにくいですね。

  ”Sex”とは、生まれたときに割り当てられた性別(生物学的性)のことです。”Gender”は、元々、sexに基づく社会的・文化的規範という意味でしたが、今はgender identity(自認性)と同じ意味で使われることが多いです。

  なお、社会的に期待される「性役割」は、本来、”gender role”ですが、”sex role”も使われます。

 

Transgender

 

  生物学的性(sex)とジェンダーアイデンティティ(自認性)が一致しない人がtransgenderです。大半のtransgenderはバイナリーと言われており、transgender = nonbinaryではありません。なお、”transgender”は形容詞で、”trans”と略して使われることが多いです。


Being trans(gender) means you do not identify with the sex you were assigned at birth.
(トランスジェンダーとは、生まれたときに割り当てられた性を自認していない人のこと。)


How do I know if I’m trans?
(自分がトランスだって、どうやったらわかるの?)


I’m a trans man who is on hormone therapy.
(私はトランスの男性で、ホルモン治療を受けている。)


Trans athletes competing in women’s sports is controversial.
(トランスのアスリートの女子スポーツ競技への参加が、物議をかもしている。)


Trans children need to be protected from bullying at school.
(トランスの子供たちが学校でいじめに遭わないよう保護されるべきだ。)


Bollywood is planning to cast trans actors in movies.
(ボリウッドは、映画でトランスの俳優を起用する予定だ。)

 

Cis vs Straight

 

  ちなみに、transgenderの反対語は、”cisgender”(略して”cis”)で、ジェンダーアイデンティティが生まれたときに割り当てられた性別と一致する人のことです。


I’m cis and straight.
(私はシスで、異性愛者。)


He’s neither cis nor transgender. He’s nonbinary.
(彼はシスでもトランスジェンダーでもない。ノンバイナリーだ。)


  なお、”straight”(日本語の俗語では「ノンけ」)は、異性愛者という意味で、性的指向(sexual orientation)を示し、ジェンダーアイデンティティに関するcisgenderとは違います。



(※1)パスポートに性別Xを認めた最初の国は、2011年のオーストラリアと言われている。ネパールでは、2007年に性的マイノリティの権利保護を求める裁判で、男女どちらでもない「第三の性」が認められた。なお、インドでは2000年以上前から第三の性が社会的に認められていたが(イギリスの植民地となってから、それを異常とする西洋の価値観が持ち込まれた)、2014年に法的に第三の性が認められた。(元々、インドとしてひとつの国であったパキスタンは2018年。)アメリカや中南米、南太平洋の先住民の間でも、昔々から男女どちらでもない人たちが認められていた。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

合わせて読みたい

---