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有元美津世のGet Global!

アジアを目指す東南アジアの留学生2024.03.19

 

先月、英語圏で留学生の受け入れを制限する国が相次いでいることを書きましたが、それとは逆に、留学生招致でしのぎを削っているのが、日本を含む東アジア諸国です。

 

留学生招致合戦を繰り広げる東アジア

 

2019年に31万人だった在日留学生は、コロナの影響で2022年には23万人に減少したのですが、日本政府は、2033年までに40万人に増やすことを目標に掲げています。 

独自で工夫をこらす大学もあり、東大では、2027年に学部・修士一貫の5年生の新課程を設立すると発表しましたが、授業はすべて英語で行われ、半数は海外から優秀な学生を集めるということです。

お隣りの韓国も、言語要件やビザ取得要件を緩和し、2027年までに留学生数を今の20万人から30万人に増やすことを目標としています。大学院生には、永住権や市民権取得への道も開くようです。

台湾も、2030年までに32万人の留学生受け入れを目指しています(台湾の人口は2300万人ほどなので、割合にするとスゴイ数)。とくに半導体などの技術分野での留学生に焦点を絞り、東南アジアを中心に10拠点に留学生リクルートセンターを開設するということです。また、卒業後の台湾での就職を促すよう、今年から卒業後の就活のための在留資格を取得しやすくしています。

急速に高齢化が進み、労働人口が減少する東アジア諸国では、どこも海外からの人材獲得に躍起で、将来の働き手となり得る留学生に来てほしいのです。

日本政府が、2020年から、国内の大学を卒業した留学生が起業活動を希望する場合、「特定活動」の在留資格の取得を許可した背景には、こうした近隣諸国との人材獲得合戦があるのです。(実際、取得条件を見たら、そんなに簡単ではない。)

 

アジアを目指す東南アジアの学生

 

そうした中、東南アジアでは、近年、アジアを目指す留学生が増えています。留学先として英語圏が一番人気であることに変わりはありませんが、アメリカの大学の学費はバカ高いですし、カナダオーストラリアも物価が高騰し、大都市は住宅危機に見舞われています。

実は、東南アジアは、中国とインドに次いで、世界的に第三の留学生供給地域なのです。東南アジア内では、海外への留学生数は、ベトナムが群を抜いて多く37%を占めており、マレーシア(16%)とインドネシア(16%)が、それに続きます。 

ベトナム人留学生は、近隣諸国に比べてアジアを選ぶ傾向が強く、下記のグラフに見るように、日本への留学が一番多く(33%)、次いで韓国(19%)です。

オーストラリアは4位に入っていますが、南オーストラリア州(South Australia)では、昨年12月から今年1月の2ヵ月で、4人のベトナム人留学生が行方不明になったことから、ベトナム中部の3つの省からは留学生の受け入れを停止しました。

そのオーストラリアは、インドネシアの留学生の間で一番人気なのですが、2位がマレーシアで、日本も4位に入っています。マレーシアの学生では、(旧宗主国の)イギリス、そしてオーストラリア、アメリカがトップ3ですが、やはり日本は4位です。イギリスへの留学が、年々、減る一方、オーストラリアの人気が上昇していたのですが、今年からオーストラリアへの留学が狭き門となるので、今後、渡航先は変わりそうです。





こうした中、今年からカナダやオーストラリアの留学生受け入れ数が減るのですから、東南アジアの留学生のアジア志向は、さらに強まりそうです。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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