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タカシの外資系物語

全員平等の関係とは ?2000.12.15

先日、私はロンドンで、ある会議に出席していました。私は少し風邪気味で、時差ボケのせいもあり、鼻をすすりながら、その会議に参加しました。ロンドンオフィスのチームヘッド ( 役員 ) がコメント中、私は大きなくしゃみをしてしまったのです。「ハ、ハ、ハクショーン !」。ハクション大魔王もビックリのくしゃみです。私は「ヤバイ」と思ったその瞬間、参加者全員が口を揃えて「Bless you!」といったのです。


これは「God, Bless you!」という決まり文句に引っ掛けた、イギリス独特の表現です。直訳すれば「神の御加護を !」となりますが、実際の意味としては「おやおや、大丈夫 ?」ぐらいのイメージです。恐縮していた私は、「OK, No problem. Thank you!」といって、その場を切り抜けました。ロンドンでは、社長でもヒラ社員でも、くしゃみをすれば「Bless you!」なのです。もし、こんなシーンが日系企業であったら、ヒラ社員ならば「ごめんなさい」と、肩をすくめて小さくなっていなければならなかったでしょう。


私が外資系企業に勤めていて実感するのは、社員全員が、他人に対して非常に気づかいながら行動しているということです。日本でもロンドンでもそれは変わりません。一般に「レディーファースト」といって、女性に対して優しいのは当然ですが、それは女性に限らず、対人関係すべてにおいていえることだと思います。最初にドアを開けた人が、全員が通るまでドアが閉まらないように押さえていたり、コピー機の一番近くにいる人がコピーをとったり、これらは上下関係の差がなく行われます。一方、日系企業ならどうでしょう。ドアを押さえているのも、コピーをとるのも、基本的にはランクの低い人がやらなければなりません。この差は、日系企業の場合、会社での上下関係は年齢の関係とほぼ一致するからなのだと思います。


しかし外資系企業の場合は、会社での上下関係と年齢はほとんど因果関係がありません。それと同時に、会社での上下関係は「偉い・偉くない」の関係ではなく、「役割の違い」でしかなく、基本的に社員は全員平等なフィールドにいると理解されています。社長と一緒にエレベーターを待っていたときのこと、いつもどおり ( ! ) みんな社長より先に乗り込んでいきました。そして社長が乗った瞬間、ブザーの音。


「OK, OK. オレは階段で行きたかったんだよ」と社長。外資系企業の社長をやるのも大変ですねぇ ……。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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