グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

外資流! リーダーが備えるべき定量的要件とは?(その4)2017.12.12

組織のライフステージとリーダーシップ


(前回の続き)リーダーが備えるべき定量的要件とは何か? 収益拡大やコスト削減などの、財務的な指標は当然のこととして、その前提となる組織運営のKPI(Key Performance Indicator)も重要です。今回のコラムでは、外資生活20年のタカシが実際に経験し、自らもそれで評価されたリーダーの組織運営に関する指標についてお話しすることにいたしましょう。

組織を活性化し、収益向上など企業の成長に貢献することは、言うまでもなく、リーダーにとって重要な役割の1つです。一般に、企業の組織には、以下の通り、様々な “ライフステージ” が存在します。

 

(1)スタートアップ期 ・・・ 志をともにできる “同志” を集めるフェーズ
(2)成長期 ・・・ “クラブ活動” のような組織運営を脱し、将来のコア人材を採用・育成するフェーズ
(3)安定期 ・・・ 組織ガバナンスを確立し、成長領域に力点を置いた人材を採用・育成するフェーズ
(4)成熟期 ・・・ 組織の新陳代謝を実施するため、一部領域のスキル(≒人材)入れ替えを実施するフェーズ
(5)衰退期→変革期 ・・・ 大幅な人員転換を実施するフェーズ
(6)撤退期 ・・・ そのリージョン(地域・国)でのビジネスを手仕舞って、人員のほとんどを解雇する

 

私は上記のうち、(1)(6)以外のフェーズを経験したことがあります。(1)については、実は、誘われたことは、あります。ある新興ソフトウェア企業の、日本代表(といっても、私が日本での最初の採用者ということなんですが・・・)としてヘッドハントされたのですが、リスクが大きいのでやめときました。結果的には、その企業は(1)を経て、すぐに(6)(!)になっていましたから、私の判断は正しかったといえばそうなんですが、IT系でドカン! と一発当てて、ビリオネアになっている人の多くは、その誘いに乗って、うまくやった人たちなので、ま、私にはその度胸も才覚も乏しいのかもしれません。

上記(6)に関しては、私の友人が、香港現地のヘッジファンドに勤めていた際に、経験したと聞いています。朝オフィスに来たら、いきなり「Trustee Representative(破産管財人)」と名乗るおっさんが乗り込んできて、デスクの私有物を段ボールの箱に詰め込んで、オフィスを追い出されたそうです。ま、こうなると、リーダーシップ云々の話ではないのですが・・・。

組織運営の要諦は、古今東西変わらず・・・


レアな話に終始するのは主旨ではないので、いま、上記(2)~(5)というのを企業のライフステージと定義して、話を進めましょう。(2)~(5)のライフステージの各フェーズにおいて、リーダーが取るべき組織運営の方法は、それぞれ異なります。しかし、どのフェーズにおいても、一貫して共通する取るべき手法があります。それは、

 

上位 20% を引き上げ、下位 20% を切る

 

ということです。 “切る” という言葉には、非常にシビアな語感を感じると思います。そりゃそうです、クビにする、と言っているのですから・・・(ヒョエーー!)。しかし、企業や事業部門を経営する立場のリーダーは、極めて冷静に、そういう判断をしなければなりません。


「レイオフっていう考え方は、日本の文化には合わないから・・・」というアナタ、それは少し違うと思います。日本における資本主義の歴史を見ても、レイオフがなかった時期というのは、高度成長期から最近までの数十年にすぎません。高度成長期の前や、そして、今後の将来においては、大なり小なり、レイオフという行為なしには、健全な企業経営は難しいと思います。

ではなぜ、日本の高度成長期から最近まで、目立ったレイオフが実施されてこなかったのでしょうか? それは、以下の理由によると思います。

  • 高度成長期(1970年代~バブル崩壊まで) = 経済発展に伴う人員需要が、下位20%を切るという行為を飲み込むほどに高水準にあったため、レイオフの必要がなかった
  • バブル崩壊以降 = 本来、下位20%を切る行為が必要だったにもかかわらず、高度成長期を経験したリーダーの大半が、過去の成功体験に酔って、実施できなかった or 先送りした or ビビッて腰が引けた or 切る前に会社が倒産した・・・


ま、その結果が、超低金利で成長性を微塵も感じさせない今のニッポンというわけです。にもかかわらず、株がなぜにあれほど上がっているのか、よーわからんのですが・・・。少なくとも、日本経済が発展しているとは、世界中のだーれも思っていないわけで、メガバンクのリストラ策を待たずとも、日本企業の大半は、下位20%を切るという、“自助努力” が必要だ、というわけです。

外資に 切られる ということを受け入れて・・・


では具体的に、外資のリーダーというのは、下位20%を切るという行為を、いかにして計測され、評価されているのでしょうか? 私の経験でお話ししたいと思います。

 

私が過去に勤務した外資系企業では、定期的に、“下位20%リスト” 的な名簿が、本社から各リーダーのもとに配布されます。何もなければ、その名簿は単なる参考資料なのですが、本社が「いざ、リストラ!」と決めた瞬間、リーダーは、そのリストのメンバーの大半を、解雇しなければなりません。

 

実は、私もほんの数週間で、10名を解雇した経験があります(分母は40名の組織でしたから、下位20%強、ということになりますね・・・)。そのときのことを思い出すと、今でも胃が痛くなるのですが、厳しい対応を実施している一方で、私は前向きにとらえてもいました。というのも、一度、下位20%リストに載ってしまった社員というのは、ある意味で、“フラグ” が立ってしまいます。そして、一度立ってしまったそのフラグは、そう簡単には消えません。どうせ低評価がついて回るのなら、積み増しの退職金をできるだけ多くもらって、違うフィールドで心機一転やり直した方がいい。「この会社とは相性が合わないから、こっちから出て行ってやる!」といった具合に考えた方がいいのです。
 

そういう状況をうまく切り抜けるためには、普段から転職を意識した人脈づくりが必要だし、ヘッドハンターともうまく付き合っていかなければなりません。こと外資に限っていえば、レイオフされることは、ダメ出しされたことを意味しているわけではなく、要は、タイミングでそうなることの方が多い。自慢することではないですが、悲観することではない。気持ちを切り替えて、前向きにやらないと、身が持たないのです。

 

次回は本テーマの最終回として、過去に私が実際に評価された指標を紹介しつつ、外資におけるリーダーシップの定量評価について結論を与えたいと思います。では!

(次回に続く)

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム

合わせて読みたい