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鈴木美加子のグローバル人材塾

グローバル人材の定義とは?2021.12.14


元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは「グローバル人材の定義」です。新しい年に向けて外資への転職を考える方も多いシーズンなので、そもそもグローバル人材とはどんな要件を満たしていればなれるのかについて解説します。

グローバル人材の解釈には様々な考え方があります。最もグローバルな人材とは、自力で専門性と英語力を身につけ、海外にわたって就労ビザをスポンサーしてくれる企業を探せる人かもしれません。ただそれぞれに事情もあり嗜好も違うので、必ずしも全員が海外を目指す必要はありません。本日は日本に存在する外資系企業で、外国人と仕事をする環境下を思い浮かべながらお話します。

私は、グローバル人材を「いつでもどこでも誰とでも、仕事ができる」人材と定義しています。それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。

1. いつでも
これは「時差」と関わりながら仕事することを意味します。海外とオンライン会議と言うと格好よく響きますが、実際は時差の関係で夜の10時からテレコンに参加するようなことが起こりえます。外国語で参加するのですから、一生懸命ヒアリングし、何か気が利いたコメントや質問を発しなければいけません。頭を活発に使っているうちにアドレナリンが出て眠れなくなることもあったりします。もちろん外資の場合は、翌朝は遅めに出社して良いなど配慮があるので、通常通りに出社することが期待されている日本企業よりだいぶ楽ではありますが、「時差」を抱えて仕事をするのは、やってみるとなかなか大変です。

2. どこでも
これはホーム(自分の国)とアウェイ(海外)に分かれます。
a) Homeホーム
日本に存在する外資系企業に勤めている場合は、文化的に慣れた環境で仕事をしているので、カルチャーギャップは海外に比べると小さいといえます。海外に暮らした経験がない方は、外資=海外と思うことがあるようですが、日本人率が高い場合は意外に日本的だったりと日本の文化・生活習慣の影響を強く受けています。自分の上司が外国人になったら、または本社やアジア・パシフィック本部に出張するようになったら、相手の文化に対する尊敬の念を表すなど、多様性とともに仕事ができるようにならないと昇進できません。

b) Awayアウェイ
ここでは自分が日頃生活している国以外に出張する場面を思い浮かべてみます。すべての国が先進国ではないので、飛行場に着いた瞬間に大きなカルチャーギャップを感じることもあります。はじめての出張先で100%の実力を出す事はなかなか難しいので、前もって行き先の生活習慣や特徴的な国民性などを調べておく、またその国に詳しい同僚がいたら話を聞くなど備えが肝心です。
一言にするとAwayでのビジネスでは、想定外対応能力が試されますので、くれぐれも「日本だったら~」発言をしないようにしましょう。

3. 誰とでも
これは年齢・性別・人種・宗教・ LGBTQなどすべての多様性を表します。現在日本企業にお勤めの方は、無意識のうちに年功序列・男性優位の企業文化に慣れています。転職先の外資系企業では通用しないので、どうか気をつけてください。
外資系の大きな特徴は成果主義であることです。相手が女性でも自分よりはるかに年下でも、実績をあげていれば自分より役職は高くて当たり前です。無意識のうちに差別発言がぽろっと出てしまわないように、カテゴリー別にNGの具体例を挙げておきます。

年齢:大手日系メーカーから部長として転職された方が、昇進を決める際に「彼/彼女はまだ若いから」発言が多くて困りました。本部長に「年齢は関係ないから」と注意されました。

性別:私自身は25年間外資系にいて女性で不利だと思ったことは、1度しかありません。その1度は大手商社の社員の方が、3次面接官として入手した私の顔を見た瞬間に、「え、女が出てきた」と顔に表した時です。企業文化の差を感じました。

宗教:日本は無宗教とも言えるので、深く信じる宗教がある方のニーズを理解することが難しいこともあります。特に出張者を迎える時には、食事に始まり日々の行動でNGは何なのかを調べておきましょう。例えば、イスラム圏から金曜日を日本で過ごすことになる出張者を迎えるなら、ハラルの食事だけでなく金曜日にお祈りをする個室/会議室の確保も必要です。私は率直に「あなたが来日して困るといけないので、日本にあるかどうか疑問なことを教えておいて欲しい」と尋ねることにしています。すると、自分のことなので、詳しく教えてくれます。

人種:私は、米国オハイオ州に出張した際に、大きなショッピングセンターで頭のてっぺんから足のつま先までジロジロ見られた経験があります。理由は簡単で、私がその場にいる唯一の黄色人種だったからです。アジア人を下に見る日本人がまだ多いですが、日本の現在の立ち位置を確認するとともに、態度に出ないようにしましょう。

LGBTQ:日本における許容度が高くなることは良いことです。感受性豊かで優しい方が多い傾向にあります。仕事をする上での経験値・スキル・資質に全く影響がないことを何度も経験していますので、もちろん職場では対等でありたいものです。

皆さんは、「いつでもどこでも誰とでも」英語で仕事ができる人材」でしょうか? 世界のビジネス公用語はこの先も英語であり続けるでしょう。AIがどれほど進化しても、語学習得に伴う異文化理解をロボットが教えてくれる事は無さそうなので、英語力も向上させながら真のグローバル人材を目指してください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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