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鈴木美加子のグローバル人材塾

相手の立場を考えられるグローバル人材2024.04.16

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。 「多様性への配慮」を本日のテーマにします。

グローバル人材の定義はいろいろ存在しますが、私は「いつでもどこでも誰とでも英語で仕事ができる人材」と定義しています。これだけでは漠然としていますので、「コミュニケーション」・「語学」の面から考えてみます。

以前、メルボルンで最もグローバル度が高いと思ったのは、バスツアーのドライバー兼ガイドさんのJohnでした。みなさん、海外でバスツアーに参加したことがあるようでしたら、その時のことを思い出してみてください。彼/彼女の英語、聞き取れましたか? NOの方が多いのが個人的な経験です。

ツアーが始まりJohnがマイクを持って話し始めてから2分で、「この方、相当経験があるかトレーニングを受けてるな」と感じました。全員外国人のツアー客に向けて、ゆっくり・口を開けてはっきり話そうとかなり努力してくれていました。

休憩時間の時Johnに話しかけたところ、「自分の英語はオーストラリア訛りが強いとわかってるんだ。僕のお客さんは、みんな外国人だから訛りをなるべく出さないように、聞き取りやすいように話すように注意してるよ。プライベートの時の僕とはぜんぜん違う英語かもしれない」と笑っていました。プロですね。多様性を理解し、相手に合わせて仕事をしようとしているグローバルなところ素晴らしかったです。

オーストラリア話が続きますが、全豪オープンを観に行ったことがあります。世界中から観客が訪れる多様性の高いグローバルなイベントです。コートへの各出入り口には必ず関係者が一人いて、お客さんの出入りを誘導していました。正規のチケットを持ってるのに、中になかなか入れず待たない状況が理解できず理由を質問しました。この時の大会関係者の英語が、ゆっくりはっきりで「さすが外国人対応に慣れてる」と驚きました。初めて全豪オープンに来る沢山の外国人に対応するのに、オーストラリア訛りの早口で答えていたら誰も理解できません。ちゃんとわかっていて、相手に合わせているのです。

所変わって日本で体験した、残念な例をシェアします。ある日本企業で管理職研修をさせていただいた時のこと。参加者は全員、日本語ができる外国人で海外からもこの研修のために来日しています。日本語ができると書きましたが、どのレベルでできるか蓋を開けてみないとわかりません。丁寧語・謙譲語・尊敬語がある日本の敬語は本当に難しいですし、英語から音を拾っているカタカナ語も外国人を悩ませます。

研修が始まり、実は参加者の日本語レベルにかなりのバラツキがあることに気がつきました。なぜか日本人担当者は気にかけていないようでした。私は用意してあった内容をそのままやったら理解できないと判断したので、午後の分を全部その場で差し替え、スライドも逐一やさしい日本語に読み替えたり、相手に合わせてデリバリーしようと努力しました。

研修が終わって、担当者の方がラップアップと翌日の予定などをお話に来られた時のこと、DJかと思うスピードで話され「自明の理」のように難しい言葉を使われたのを拝見して残念に思いました。相手と立場を逆にしたら、早口でない方が有難いし英単語のレベルが高すぎたら、そもそも理解できないかもしれません。

皆さんは、多様性と協働すること得意ですか? 日本式が当たり前と無意識に思い込み、外国籍の方に押しつけないグローバル人材を目指しましょう。この先、労働人口が減ると明確に見えている日本で仕事をしていく上で大事なスキルです。 多様性との協働は慣れの部分が大きいので、マインドを切り替えて「日本の文化」も「相手の文化」も尊重したいです。語学は文化を形成する大きな要素なので、外国人と日本語で話す時は配慮して生産性を下げない努力が求められます。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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