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鈴木美加子のグローバル人材塾

キャリアの方向性に迷ったら、することは3つ2022.12.27

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。いよいよ年末年始を迎えます。普段より自分のキャリアについてよく考える時間がある、このタイミングで「キャリアの方向性」を取り上げます。

キャリアの方向性を決めるのは簡単ではありません。その後の人生に影響を与えますし、一度違う道を選んだら戻れる保証がない場合もあります。一人で考えていると、思考が堂々巡りしてしまい解決になかなか至らないことも多いです。

キャリアの方向性に迷いがある時に、お勧めのタスク3つをご紹介します。

ひとつめは、本人の適性を確認することです。誰にもある強みと弱みですが、そもそも強みを自覚できているか、活かして仕事をしているかを客観的に測るツールを使うのが早いです。お勧めのツールのひとつが英国発のルミナ適性診断  ( https://bit.ly/3bupKDg )を受けてみることです。本来の自分・職場で見せている自分・ストレスがかかった時の自分、これら3つの状況で24の資質(メンタルにタフ、根拠重視など)のスコアが出るので、客観的で結果を受け入れやすいです。

自分の弱みを生かしてお仕事をされている場合は、キャリア変更せざるを得ません。強みを使って仕事は出来ている、でも日々の仕事に不満があるなら、人間関係や企業文化など置かれている環境に問題があることになります。自分の力で変えられるなら留まればいいし、変えられない大きな要素があるなら異動・転職せざるを得ないという判断になるでしょう。

2つめに、方向性が決まったところで行動を起こすにあたっては、「現在の人生における優先順位」を振り返ると決断までのプロセスが早いです。
「自由な時間」・「お金」・「裁量権」・「安定」など様々な価値観の中で、最も重要な価値観トップ3はこの時点で何でしょうか。

ルミナで「セールス」が適職とわかった26歳の男性が、どうも「セールス」へのキャリア変更に乗り気でないので、どうしてだろうと価値観のカードを並べたところ「名誉」が重要とわかりました。若い彼の中で、セールスの仕事は誰にでもできると映っていたようで、特別感がない職業にキャリア変更するのにためらいがあったのです。彼の価値観の重要度トップ3に、「お金」と「結果」が入るので、ルミナのデータと照らし合わせて、本来はセールスが適職でありその仕事を通じて、最重要な価値観を満たせる可能性が高いことを説明し、最終判断はご本人に委ねました。彼には4ヶ月後、営業職に転職したとご報告をいただきました。

他にも43歳の非常に優秀な法務部のマネジャーが独立を考えて悩んでおられました。ルミナの結果は、法務の仕事は強みを生かせる仕事で適職ですが、独立に必要なタフさと社交性が弱く、独立にあまり向いていないとわかりました。価値観カードを並べていただくと、「専門家」「知名度の高い組織」「仕事の継続」と安定寄りのカードがトップ3に入ります。本当に独立する方は、チャレンジ寄りのカードが並ぶのが常なので、黄色信号です。手放しで独立をお勧めできません。

そこでなぜ独立したいのかをさらに伺うと、法務部のトップに就任した新しい上司との折り合いが悪く、「追い出される」のではないかと思い始めたことと、昔、弁護士として独立したいと思った時期があることがわかりました。昔の価値観と現在の価値観は同じではないことの方が多いので、ルミナの結果と「現在」の最重要・価値観を客観的に見て判断されることをお勧めしました。最終的に独立はやめて、法務部のマネジャーとして転職されました。

キャリアの方向性を考えるにあたり、3つめに重要なのは、本人の「不確実性回避」度がどのくらい高いかです。つまりはリスクを取るタイプなのかどうかです。

有名なホフステードの6次元異文化モデルによると、日本人は一般的に不確実性回避の度合いが92と非常に高いです。リスクを取りにくい国民性だと言えますが、個人差は当然あるので、「自分はどのくらいリスクを取れる人間だろう?」と考えてみることが重要です。

不確実なもの=リスクを取りたいタイプの方は、チャレンジした方が後悔なく生きられます。不確実性を避けたい気持ちが高いとわかっている場合は、無理にキャリア変更へ自分を追い込まないほうがいいでしょう。どちらが良い悪いではなく、どちらが自分に合っている生き方なのかになります。

まとめると、キャリアの方向性に迷った時は、「適性」・「現在の人生における価値観の優先順位」・「不確実なことをどのくらい避けたいか」の3つを、客観的に振り返ることができると早く解決できます。

振り返る時に自分の頭の中だけで考えると、同じ考えが回ってしまいますので、自分のことをよく理解している友人・家族・メンターに、考えを伝えてアドバイスを求めましょう。相談できる方がいない場合は、紙に書き出すという作業をすると客観的になりますし、プロのアドバイスも受けてみてください。

まとまった時間が取れる年末年始に、キャリアの方向性について客観的に見直すことで、迷いない2023年のスタートが切れますように。今年もコラムをお読みいただき、ありがとうございました。
2023年は1月10日より連載を再開させていただきます。どうぞ良い年をお迎えください。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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