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鈴木美加子のグローバル人材塾

キャリアの方向性をルミナで考える(実例49)2023.03.28

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。

*この記事は本人の了承の下に書かれています。

今回の相談者・星野さんは38歳の男性です。新卒で就職した日本企業に現在も勤めています。社内異動で4つの部署を経験し、自分につよい専門性が無いことに危機感を感じています。どのように専門性を見出したら良いかがご相談内容です。

 

まず星野さんの4つのカラーを見ます。

ついに現れた完璧に近いバランスが取れている人材の結果です。一応、ブリーフィングの冒頭で、どんな状況を想い浮かべて回答されたか、直感に従って考えすぎずに答えているかどうかを確認したほど、まれに見るバランス型です。

 

星野さんの場合、ほとんどのことが強みです。まず結果重視の赤と人間重視の緑がスコア100%、つまり100人並んだらどちらも1番前にいることになります。細かいことが得意な青は99%で前から2番目に並んでいます。ビジョン重視の黄色は94%なので100人の中で前から7番目に立っていると言うことになります。過去7年間、ルミナを使ってキャリア相談をしてきましたが、ここまで高いレベルでバランスしている人材にお目にかかるのは初めてです。

強みが多くて、キャリアの方向性を絞るのがとても難しい事がよくわかります。これまで、営業・経理・バイヤー・マーケティングトと一見バラバラの仕事をしてきましたが、どの仕事も好きでも嫌いでもなく評価は高かったそうです。ただマーケティングに関しては、そこに特化したいと思うほど好きではなかったかもしれないとのことでした。

 

スコアのバランスが取れている星野さんのマンダラは、360度の円に近いです。よく見ると、ビジョン重視の黄色が他の色に比べると、少し短い、つまりはスコアが低いのです。これがマーケティングの仕事を特に楽しいと思わなかった理由のようです。詳細についてはもっと細かいデータを追って見ます。

 

この「ルミナを使って、キャリアの方向性を考える」シリーズでは、紙面の都合上いつもはお見せしていないのですが、今回は星野さんのトップ5の資質と最も持っていない資質、5つを表すデータをシェアします。

 

バランスが取れた星野さんのトップ5の資質は、「表現力豊か・目的意識が高い・慎重・物事に控えめ・受容力」になります。比較の問題で最も持っていない資質は、「想像力豊か・革新的・根拠重視・協力的・順応性がある」です。

マーケティングの仕事があまり好きでなかった理由はこれで説明ができます。「想像力豊かと革新的」は、マーケティング従事者に必須の資質ですが、残念ながらどちらも他の資質に比べるとスコアが低いと言う結果です。また、商品のプロモーション、売り上げアップへの貢献を仕事にする場合、数字やデータ処理は大切になりますが、「根拠重視」でないので、数字分析はあまり好きではないでしょう。

 

バランスが取れているとは言いながらも、自分の中での強みと弱みはあることを、星野さんにここで理解いただきました。結果についてはその通りだと思うとのことでした。

 

適職を考えるに当たっては、さらに詳細なデータを見る必要があるので、24のクオリティーに移ります。ほとんどの資質のスコアが高いですが、このチャートから気がつく事が3点あります。

 

1. 単独で完結する仕事の方が本来は向いている
人間重視の度合いが非常に高い星野さんですが、「協力的」のスコアが30%台なのでどちらかと言うと1人で完結する仕事の方が向いていています。常に3人で一緒に仕事をしないとタスクが完了しないような仕事は、星野さんを疲れさせるでしょう。

2. 現在モチベーションが下がっていると見受けられるので、次のアクションを早く決めたい。
もともとは「メンタルにタフ」な方ですし、「柔軟性」も非常に高いのですが、「日常の自分、職場の自分」におけるスコアが著しく下がっています。自分が持つ資質を特に使わないで済むほど仕事に慣れたか、モチベーションが下がっている可能性が高いです。

3. 慎重・物事に控えめ・思慮深いのスコアが非常に高い
バランス型人材の適職は、実は1人起業家です。自分で仕事をする時、黄色のマーケティング、赤の営業、青の経理や事務作業、緑の顧客対応、すべてを自分でやることになります。強みや弱みに欠けがある人は、自分だけでは完結できないので、外注など誰かに助けてもらう必要がありますが、星野さんにはその必要がありません。やれば自分で出来るからです。

ただ残念なことに、慎重3兄弟のスコアが非常に高い方は、リスクを避けたい気持ちが高く、最終的に起業に至らないというのが、私のこれまでの経験値です。副業をする事はあるかもしれませんが、完全に独立する事はおそらくないでしょう。星野さんも自分でやってみたい気持ちもあるけれど、やっぱり不安とおっしゃっていました。起業の選択肢がここで消えます。

次の選択肢として会社員を続ける場合、日系か外資かを考えることになります。中学生の時の帰国組で英語が出来る星野さんは、語学力と言う面では外資系への転職でも全く問題はありません。ただ、専門性を築けていないことと、バランスが取れすぎていると言う意味で、外資をあまりお勧めできないのが現実です

日本はお受験の過程で、バランスよく成績が良いことを評価する傾向にありますが、社会人として秀でている人、特に外資系で出世している人は、バランスは取れていないけれど、その部署に必要な資質は突出している人材が多いです。

非常に慎重であることに配慮して、安定した大手企業で、今まで通り、社内移動を会社主導でして、どの仕事も卒なくこなすと言うジェネラリストの道が、星野さんにとって満足感の高い人生になるでしょう。世の中的には、「専門性」「専門性」と言いますし、私も機会があるたびに「専門性を作ること」の重要性を唱えてはいますが、例外は存在すると言うことです。

星野さんは自分の中のモヤモヤが、高度な「バランス型人材」からくると明確になったので、腹落ちしたし、すっきりしたと何回も言ってくださいました。これからは「高度なジェネラリストに生まれた自分なのだから、その事実を受け入れてジェネラリストとして生きる」方向に舵を切ることに決まりました。バランスが取れていることが、星野さんの最大の特徴なので専門性を追い求めてもうまくいかないという結論です。

 

キャリアの方向性に迷ったら、適性診断ツールのルミナ、スパークを思い出してください。ご興味がある方はこちらをご覧ください。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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