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鈴木美加子のグローバル人材塾

転職活動のプロセスは企業の品格を表す2023.12.19

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木 美加子です。転職活動、順調ですか?

最終段階にあって会社選びをしている方、もう一度年明けに転職活動をスタートさせる方、とそれぞれかもしれませんが、プロセスの途中で感じる「違和感」を見逃さないで欲しいです。転職活動のプロセスには、企業の品格や裏事情が表れるからです。

今日は転職活動中の違和感の具体例を3つお届けします。

40代の女性が日本に進出する企業のマーケティング責任者として、面接を進めていました。一度断られ、2度目にもう一度来て欲しいと言われ面接に行きました。2度目もお断りされました。3度目に呼ばれたと聞いた時、私はこの会社はやめたほうがいいと伝えました。

何か理由があるから最初の面接がうまくいかなかったのに、同じ候補者を3回呼びつけるのはさすがに失礼なことで、めったに起こりません。彼女はその企業に魅力を感じていたので3回目の面接にも応じましたが、結局3回目もお断りされました。彼女自身は他の企業で新しいキャリアをスタートさせましたが、8ヵ月後のその企業はどうか?

トップ3人が総入れ替え、彼女が受かりたかったポジションに採用された方も既に辞めているそうです。日本でのビジネスがうまく行っていないのでしょう。日本撤退もありえそうです。彼女はご縁がなくて良かったのです。

私の実例もシェアします。初めて面接に行った時に非常に気にいった企業があり、「転職回数が多い」と言う、履歴書を読めば誰にでもわかる理由でお断りが入った時は、自分でも笑ってしまうほどガッカリしてしまいました

それから、半年後、M&Aで買われる側になったと日経新聞の一面に記事が載った時は驚きました。私は受からなくて命拾いをしたのです。

面接の時1つだけ違和感がありました。人事部長の面接に、経理部長が出てこられたのです。外資は縦割りなので、人事の人を採用するのに経理の人が出てくると言う事はまずありません。同じ縦割りでアジア・パシフィックの人事の責任者か、もう1人の上司である日本法人の社長が1次面接官になります。

面接の時に既にM&Aは決まっていたと思うので、組合対応の経験があるかどうかを確認することが面接官の主たる責任で経理のトップでも面接できたのですね。外資の面接にしては珍しく組合の経験について深掘りされたことも、もう1つの違和感でした。私は組合のない外資を選んで転職していたので、今回のポジションの適任者ではありませんでした。

あの時、受かっていたら喜んだのも束の間、買われた会社サイドの人員整理が仕事になり、最後に私も失職して転職活動をもう1回やることになったのですから、考えただけでゾッとします。私は受からなくて良かったのです。

今私は、ある男性の外資系への転職を伴走しています。違和感を覚えるのは、面接のプロセスのスピードです。1次面接の時にすでに彼を採用すると決めたような節があり、さすがにスピードの速い外資でも、あまり起こらないほどのスピードで2次面接以降が進んでいます。

年内にオファーを出したいように見受けられるのですが、なぜにそこまで急ぐのかが疑問です。確かにスピード感があって不思議のない業界ですが、現職がある人にこの間隔のなさで実技もある面接を推し進める様子は、候補者への配慮が足りないと感じます。人事の勘が働くのか気になって仕方ありません。こちらは現在進行形なので、プロセスが終わったら押し切られないでよく考えるしかないですね。初めての転職である本人も違和感を覚えているようなので、見過ごさないことが肝心です。

転職活動のプロセスは、企業文化と品格を表します。特に初めての転職は、比較の対象がないこともあって違和感を見過ごしてしまうことがあります。入社してからこんなはずではなかったになると、もう一回転職することになるので「何かおかしいな」と感じたら違和感の原因を探してみた方がいいです。企業の本質は残念ながら入社するまでわかりませんが、転職活動のプロセス中に垣間見ることはできるのでよく観察しましょう。

面接は企業とのお見合いです。先方が一方的に候補者を品定めする場ではありません。候補者の側も「本当にこの企業で大丈夫か?」「どんな企業文化なのだろう?」と、注意深く観察して欲しいです。面接で緊張するとこの観察眼で鈍ります。目の前の応答だけに注意が行き全体を見渡すことができなくなるからです。必要なら、想定質問とラフな答えを用意して心にゆとりを作り、応募先の企業をよく見ることをお勧めします。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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