グローバル転職NAVI
最近よく「グローバルIT企業」という言葉を聞くようになりましたが、この「グローバル」や「グローバルIT」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
これらの言葉の背景を見ていくのと同時に、「グローバルIT企業」とは何か、実際に「グローバルIT企業」と呼ばれる企業例を挙げて紐解いていきます。
“国際化”(=internationalization)と“グローバル化”(=globalization)という2つの言葉がありますが、最近では“グローバル化”という言葉の方がよく使われるのではないでしょうか。どちらも世界のさまざまな国と関係を深めていく、と言った意味合いがあるにも関わらずなぜ後者の“グローバル化”の方が頻出するようになってきたのでしょうか。
このことは英語の語感について説明する必要があります。まず“国際化”、internationalizationは「nation」という単語から来ており、地平の上に広がっているたくさんの国々との関係をイメージさせます。一方で、“グローバル化”、globalizationは、「globe」という語源で、「globe」は球体を意味し、そのイメージから地球儀を俯瞰して見ているような丸ごと一つのものであることをイメージさせます。
つまり、“グローバル化”(=globalization)という言葉がメジャーになってきた背景には、個々の国(nation)を意識するのではなく、地球全体(globe)として考えていく、といった言わば「ボーダレス」の意味合いが含まれ、世界共通という認識が台頭してきたことがあるのです。
これを踏まえ「多国籍企業」と「グローバル企業」について考えてみると、「多国籍企業」(=multinational company)は各国の文化やニーズに合わせて商品やサービスを展開し、「グローバル企業」は、国やマーケットを越えて世界中の人の共通ニーズ応える商品やサービスを提供することによって展開していく、という違いが見えてきます。
さて前段を受けて、「グローバルIT企業」とは、世界中ボーダレスに同じ商品を展開し市場を創造していくIT企業ということになりますが、また一方で、「グローバルIT」はIT企業に限らず、グローバル化を目指す企業において大きな課題となっています。
グローバル展開を目指す中で、自社のIT環境の整備を行って「グローバルIT」の状況を作り出し、より迅速な情報共有、意思決定、リスクコントロールなどをグローバルレベルで行うことで企業のグローバル化を推進します。特に世界規模の経営活動を行う際に、ITが足かせとならないよう整備することは高いパフォーマンスを挙げるために必須となってきています。
しかしながらITが発達している昨今でも、経営活動、事業構造の改善からブレイクダウンして、販売や物流、会計、人事などさまざまな面においてグローバルITが十分に整備されている企業は多いとは言えない状況です。「グローバルIT」という言葉が注目されているのは、世界を股にかけグローバル展開を仕掛けていく上で、非常に重要な事柄であると認識されているからと言えます。
中でも、「グローバルIT企業」は、「グローバルIT」を強みとしてビジネスを推進し、IT関連商品を展開している企業です。提供する商品、サービスがITを基にしたもののため、いち早く「グローバルIT」環境も整え「グローバルIT企業」として高い成果を上げていると言えるでしょう。
また、Great Place to Work Instituteによる第3回「働きがいのあるグローバル企業」世界ランキング(World’s Best Multinational Workplaces List)のベスト5を見てみると、実に5社中4社がIT企業という結果になっています。
▽「働きがいのあるグローバル企業」世界ランキング
1位:Google(IT インターネットサービスプロバイダー)
2位:SAS Institute(IT ソフトウェア)
3位:Netapp(IT ストレージ データ管理)
4位:Microsoft(IT ソフトウェア)
5位:W. L. Gore & Associates(製造業 化学)
※ランキングは、世界45か国以上において、世界共通基準で調査分析を行い一定基準に達した会社を「働きがいのある会社(Great Place to Work 」に選定し評価されています。
1位のGoogleは言わずと知れた検索エンジン、クラウド・コンピューティング、オンライン広告などを提供するグローバルIT企業の代表格である企業です。たとえばGoogleの検索システムで言えば、言語の違いなどはあるとしても、「インターネット上の情報を検索する」という世界中の共通ニーズに応えるサービスで、まさに国を超えたグローバル展開を行っています。
これまで見てきたように、「グローバルIT企業」は、地球規模でマーケットをとらえており、世界共通のITサービスを提供することで市場を創造し世界基準を生み出していく「時代の先駆者」とも言えるような存在なのかもしれません。
またその発展の過程において、迅速で最適な事業展開が可能なように自社の高いITを駆使し、世界に多大な影響を与えている企業と言えるでしょう。